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「うっ……うぅっ」 「可哀想に、もう戻れないな」  泣きじゃくる和真の後孔を穿つ加納がポツリと呟くが、既に精神は酷く消耗し、体は疲弊しきっていたから、その言葉の意味するところを考えるだけの余裕も持てず、意識を失うその瞬間まで嗚咽と涙を零し続けた。  *** 「目のまわりが真っ赤だ」 「ああ、流石にやりすぎたかな」 「そんなことは無いんじゃない? 大分素直になったし」  言いながら、眠る和真の胸の尖りを弄び、柔らかな笑みを浮かべる奈津は、普段は優しく見えるけれども、生粋のサディストだ。自分もその自覚はあるが、この従兄弟(いとこ)よりはきっと甘い。 「可愛かったな。俺達のでしか射精するなって教えてるから、必死に我慢してた」 「そうだな。起きたら誉めてやらないと」  キングサイズのベッドに寝かせた和真を間に挟んで話す二人は、触れ合うだけのキスをしてから、同じように和真の頬にもキスをした。  帰り際、加納と交わした会話が今日の目的を物語っている。 『やってくれたね』 『やっぱり、分かってしまいましたか』 『そりゃあ分かるさ。でも、かなり愉しませて貰ったから……今日の所はチャラだ』  他の男に犯させるのは気が進まないと薫は言ったが、彼らを残して別室にあるモニターで見た和真の姿に、言いだした奈津より先に昂ったのは、他でもない自分の方だ。  自分たちへと助けを求め、射精しまいと己のペニスを掴む姿に昂揚し、気づけば奈津と扱き合っていた。 「どうする? 社長さん、あのままにしといて大丈夫?」 「んー、あの人なら大丈夫だと思うけど、また混ざりたがるようだったらその時は考える」  ふと、加納をそのまま帰したことに思い至って尋ねれば、悪戯っぽく微笑んだ奈津が「それより社長に情報をリークしたママをなんとかしないと」と返事をした。

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