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 結果、今朝のような状態になってしまったのだから、ペットを飼うのは難しい。 「病院……いや、まずは往診してもらう……か」  怯えた和真の顔を思い出し奈津は口角を(わず)かに上げる。扱いをひとつ間違えれば、和真は再び逃げ出そうとするだろうが、従順さを求めるあまり厳しくしすぎた自覚はある。 (とにかく帰ってからだ)  明日は土曜で仕事は休みだ。たまには和真を甘やかすのもいいだろう。そんなことを考えながら、エレベーターから降りた奈津は勤務先へと足を進めた。  *** 「んぅ……」  目覚めると、視界の中にシーツの白が飛び込んでくる。視線を僅かに移動させれば、いつも寝ているキングサイズのベッドに一人でいることが分かるが、和真には今の状況がうまく理解できない。 (はやく……起きないと)  二人はどこへ行ってしまったのか? と、考えた時に今朝の出来事を思いだし、和真は上半身を起こそうとシーツを掴む手に力を込めた。 (挨拶……できなかった)  朝の挨拶は絶対だ。前日どんなに酷く抱かれても、彼らより早く起きなければ、仕置きを受ける決まりになっている。  キスで二人を起こしたあと、ベッドから降りて仰向けになり、ブジーを抜いてもらわなければ排泄すらも許されなかった。 「うっ……うぅ」  起きあがろうと試みるけれど、腕に力がほとんど入らず再びベッドへ倒れ込む。すると、カチャリとドアが開く音が聞こえ和真は体を震わせた。 「あ……あ、ごめんなさい」 「動くな」  再び起きあがろうとしたのを声で制され動きを止める。薫一人が来たということは、奈津は仕事に行ったのだろうか?

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