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「もういらない?」
初夏の日差しを遮 るように自分の前へ立つ薫へと、小さな声で「ごちそうさまでした」と礼を告げながら、和真の頭に一つの疑問がわいてきた。
自分は彼らに葡萄 が好きだと伝えたことがあっただろうか?
「和真、口開けて」
脇に置かれたテーブルへとグラスを置いた薫に言われ、素直に言葉に従えば……近づいてきた彼の唇に自身のそれを塞がれた。
「ん……」
口腔内へ入り込んだ舌に歯列をざらりと舐められて、下半身から淫らな熱が生まれてくる。
自らも舌をぎこちなく差し出し彼のそれへと絡めていくのは、教え込まれた条件反射で意志を持ってのことでは無い……はずだ。
「ん……ふぅ」
後頭部を支えるように掴んでいる手のひらが、徐々に下がってうなじを撫でる。刹那、愉悦が背筋を這い上がり、鼻から微かな吐息が漏れた。
「うぅ……ん」
唾液の絡まるクチュクチュという卑猥な音が、直接脳へと響いてくる。
角度を変え、時間をかけて上顎をねっとり舐められた上、吸われた舌の先端へと軽く歯を立てられれば、肘掛 けを掴んだ和真の指先がたまらないといったようにピクッピクッと痙攣した。
「……あ」
「甘い」
どれくらい経っただろう? 散々口内を蹂躙 したあと、唇を離した薫が一言そう告げてくる。
和真はといえば、キスをしただけなのにも関わらず、体は火照り、目の焦点を合わせることができなくなっていた。
「かわいい」
頬へ触れてきた彼の手のひらを、優しいと感じた和真は無意識に顔を擦り寄せる。
すると、何度か頬を撫でた薫が和真の前へと膝をつき、バスローブの腰紐を解いて合わせを左右に開いてしまった。
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