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「……や」 「なに?」  和真の座ってる椅子から他の建物は見えないが、屋外で裸にされてしまうのは嫌だったから、思わず声が漏れてしまう。  けれど、問い返してくる薫の笑みを見た途端、彼の怖さを思い出し、怯えた和真は「ありがとうございます」と掠れた声で呟いた。 「やっぱり()ってる。和真、(あし)」  膝へと触れた彼の指先が、閉じた和真の太腿(ふともも)をなぞる。命じられれば従うしか道は無い。  羞恥はもちろんあるけれど、逆らっても結果は同じだ。  だから、なるべく早く終わるようにと願いながら脚を開けば、閉じることが出来ないように太腿を強く掴んだ薫は、その直後、あろうことか、はしたなくも反応を示す和真の性器へ端整(たんせい)な顔を近づけて、その先端へと舌を這わせた。  *** 『奈津が他の男を抱くなんて嫌だ。そんなことするくらいなら俺が全部受け止める』  物心がついた時から奈津の一番近くにいた。  互いの事は些細な事まで知っていたし、意見が対立するなんてことはあの時まで一度も無かった。 『ダメだ。薫が無理をする必要なんかない。俺のためにそんなことしたら、絶対にいつか破綻する。だから――』  奈津は特別な存在だ。  薫にとってはもちろんだけれど、香川家の次期当主だから一族にとっても特別だ。今は都会で暮らしているが、今の当主が隠居するまでと決まっているから、この生活もあと数年といったところだろう。 (それまで、ずっと飼い続けるつもりか?) 「う……あうぅ、ごめんなさい、ごめんなさ……」  半ば回想に耽っていた薫だが、和真の微かな喘ぎを聞いて現実へと意識を戻した。  

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