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 乾いてしまった唇を舐め、和真は浅く息を吸う。彼らが自分に求める答えを、なるべく早く声に出さなければならない事は分かっていた。 「……ごめんなさい。僕……僕……が、服を……着たいって……言いまし……」    掠れた声で発した謝罪は途中で嗚咽へ変わってしまい、どうしても続きが紡げない。それと同時に酷い吐き気がこみ上げて、我慢が出来ずに嘔吐した。 「奈津、これ以上は止めたほうがいい」 「……そうだな」 「うぅっ……う……」  背中をさする薫の大きな手のひらが、心地いいなどと感じるのは……つい先ほど、優しくされたせいだろう。 「俺はここを片付けるから、奈津は和真を洗ってきて」 「分かった」 「それが終わったら少し話そうか」 「そうだな」  和真の上で二人が会話をしているが、泣きながら酷く()()んだために内容までは分からなかった。 第三章 終わり

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