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けれど、今はそれを押さえ込み、これまでになく優しい手つきで華奢な体を撫で回す。
「もう怒ってないから、怖がらなくていい」
さっき怒って見せたのは、そうした方が後で優しくした時に、和真が嬉しいと感じる事まで計算済みの行動だ。そして、思惑通り和真は奈津へと身を委ね、数分と経たないうちにあえかな吐息を漏らし始めた。
「勃ってる。いやらしいこと考えてる?」
「あっ……ふぅ」
小振りなペニスを手のひらで包み尿道口を指の腹で押してやる。と、達しそうになった和真は、いやいやといったように首を振り、必死に震える指を動かして己のペニスの根本を掴んだ。
***
「ん……」
「目が覚めた?」
「あ、ごめんなさい」
意識を戻した和真が居たのはいつも三人で使用している大きなベッドの上だった。奈津の腕に抱かれているため至近距離で視線が絡む。
「薫は仕事」
ほんの一瞬、薫を探して視線を動かした和真だが、すぐに意図を察した奈津に言われてコクリと頷いた。
バスタブの中で体をくまなく洗われたのは覚えている。
我慢するように命じられたから必死にペニスの根本を掴んでいたのだが、途中で意識を失ったから成功したかは分からない。
「起きられる?」
「はい」
本当は、起きあがれるか不安だった。けれど、奈津に体を支えられながら体を徐々に起こしていくと、どういう訳か? さきほどよりも体を軽く動かせる。
「寝ている間に往診に来てもらった。点滴もしてもらったから、少しはいいと思うんだけど」
「え?」
「大丈夫だよ。何も覚えてないから」
左手首を掴まれた和真は甲の部分に針の刺さった痕跡を見つけ、驚きに目を見開いた。
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