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『嫉妬か?』
『そうかも』
『どっちに?』
和真を医師へと見せた後、奈津は薫と話をした。
躾のため、わざと理不尽な怒りかたをしたのだが、それを加味しても、いつもとは違う自分の様子に薫は気づいていたようだ。
『和真に……かな』
自分が仕事で不在の間、和真が薫を誘惑したという理由。それが一番しっくりとくるが、それだけでは無い事を奈津も自覚している。
『あと、薫にだけ和真がなついたように見えたのも不愉快だった。薫だって逆の立場ならそう思うだろ?』
『確かに。けど、ペットのケアは飼い主の努めだ。今回のことは俺にも奈津にも責任がある。相談しないでケアした事は謝るから、機嫌を直してくれないか?』
ソファーに座る奈津の隣に座った薫が、耳朶 へと舌を這わせて囁いた。
『いいよ。その代わり……同じだけの時間、俺にも和真をちょうだい』
薫の頭を掴んだ奈津はその唇を深く塞ぎ、愛しい従兄弟 としばしの間、舌をねっとりと絡ませあう。
『ダメとは言えない……か』
『だろ?』
キスのあと、困ったように眉尻を下げる薫に対し、悪戯っぽく奈津は微笑み……それから、和真を飼う前はいつもそうしていたように、オーラルで愉悦を貪 りあった。
けれど、和真がいないと物足りない。薫もきっと同じ感情を抱いているはずだ。
過去に二人で飼ったペットと和真はまったく違っている。
それは――。
「やっぱり食べるの難しい?」
数時間前のやりとりを思い出しながら、目の前で粥を食べる和真へと声を掛ければ、ピクリと肩を震わせた彼は、いったん手を止め「ごめんなさい」と消え入りそうな声で答えた。
彼を車で連れてきたのは都内にある料亭で、個室の外は都心部とは思えないような、広く美しい日本庭園になっている。
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