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「あっ、やぁっ! んぅっ」  二十秒ほどで一度引き上げて(あえ)ぐ唇を口で塞ぐ。すると酸素が足りないのか? 体が痙攣しはじめたから、仕方ないなと心で呟きバスタブから華奢な体を引き上げた。  タイルの上へと投げ出せば、体を丸めた和真は激しく咳込んでいるが、そんなことは気にもならない。 「和真、おいで」  濡れてしまった自身の衣類を脱ぎ去ってから、設置されているバスチェアーへと座った奈津が名を呼ぶと、ノロノロと動きはじめた和真は()ってこちらへ来ようとするが、(ひざ)がガクガクと震えているため前に進めないようだった。  「しょうがないな」  自然と舌打ちしてしまうほど、奈津にはもう余裕がない。数歩移動して和真の背後に回り込み、「ごめんなさい」を繰り返しながら震える彼の腰を持ち上げ、迷うことなくその後孔を己の(たかぶ)りで貫いた。 「ひっ、あ"っ……あぅぅっ!」  苦しげな和真の悲鳴がバスルームへと響き渡り、爪でタイルを引っ掻く姿が奈津の本能をさらにかき立てる。  こんなに欲求を我慢をしたのはいつぶりのことだろう?   これまで、気を失った和真をそのまま犯すことだってあったのに、今日は珍しく薫が止めたものだから、奈津の心は言いようのない妙な感情に包まれていた。  条件として最初は和真を一人で使うと言った時、了と答えた薫はいつもと変わらぬ笑みを浮かべていたけれど、今思えば常とは何かが違っていたような気がする。 (あとで話せばいい。それより今は……)  もて余すほどの欲情を、和真にぶつけることが先決だ。その衝動は抑えられないし、抑える必要性も無い。 「これは、俺のだ」 「う……ぐぅっ……ん」  激しく孔を穿ちながら、尻を平手で何度か叩く。と、その都度中が締めつけられて最高に具合が()かった。 「あっ、あうぅっ……ん」 「もうイッたの? 和真はホントに堪え性がない」  こんな状況にも関わらず、吐精してしまった彼の耳元へ唇を寄せて囁けば、嗚咽混じりに「ちがう」と訴える弱々しい声がした。   和真のアナルを性器に変えたのは他でもない自分と薫の二人だが、彼はそういう星の(もと)に生まれついた存在だ。

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