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第五章 愛ヲ掻イ潜ル

「あっ……あぅ……んぐぅ」 (ダメだ……もう……しぬ)  そんな思考が浮かぶくらいに和真は疲弊しきっていた。体中が倦怠感と痛みで悲鳴をあげている。 「気持ち悦いみたいだ」 「和真は淫乱だからな」 「ぐぅっ……ん!」  陰嚢を強い力で揉まれ、体がビクビクと痙攣するが、射精するには刺激が足りずに目尻からは涙がこぼれた。  本当に辛いのに、痛いのは嫌なのに、体の方はいともたやすく深い愉悦に溺れてしまう。そんな自分を心の底から軽蔑し、ここから逃れるために意識を絶ってしまいたいと切に願うが、それを見透かしたように彼らは緩急をつけて和真の体を(もてあそ)んだ。  先ほど、バスルームで奈津に散々犯されていた和真だが、先に出て行った彼の姿に『今日は終わった』などと考えたのは、浅はかでしかない思考だった。  薫を(ともな)いすぐに戻った奈津が持っていた縄を見て、怯えた和真は体を拭かれている間、「ごめんなさい」と何度も何度も謝罪をした。  自分が何をしてしまったのかは分からない。  彼らにしても怒っている雰囲気ではない。  けれど、これまで縄を使われる時は折檻だと決まっていた。彼らとのセックスには不本意ながら慣されている自覚があるが、折檻に慣れる事などない。 「おなか、痛い?」  陰嚢を揉む薫の手のひらが移動して、少し膨らんだ和真の腹を撫でさする。途端、グルグルという音が聞こえ、蒼白になった和真の額にうっすらと脂汗が滲んだ。 【第五章 愛ヲ掻イ潜ル】

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