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「うぅ……ん」
開口具を嵌 められているため、薫の言葉に返事ができるはずもなく、開きっぱなしの唇からは涎 がポタポタと床に垂れる。
「顔、真っ青だ」
目の前にいる奈津が頬を撫で、心配そうに告げてくるのが心の底から恐ろししい。つい先ほど、バスルームで見た残虐性は陰を潜め、優しいと思わせるような表情を浮かべていた。
彼に関してはこんなことがたまにある。この二面性が薫より奈津を和真が恐れる理由のひとつだ。
「まだ大丈夫?」
「んっ……ふぁうっ」
下腹をゆるく圧 される痛みに悶えた和真の体が揺れる。先ほどから、酷く痛んだり落ち着いたりを繰り返しているが、激痛を感じるまでの間隔が、だいぶ短くなっていた。
「もう限界?」
「いや、ここは勃ってるし、もうちょっと我慢できるんじゃないかな」
奈津の問いかけに答えた薫が勃 ちあがっている和真のペニスをツッと撫で、そこから生まれるもどかしい熱に後孔がヒクリヒクリと開閉するが、アナルプラグでみっしりと栓をされているため、排出は叶わない。
「これ、可愛い」
「ぐぅ……うぅっ」
胸の尖りを飾るピアスには鈴がぶら下げられており、奈津が指先で弾くたび、チリンチリンと音を響かせた。
今、和真は身体 を縄で縛られたうえ、天井付近の太い梁 から吊り下げられている状態だ。
胸の上下と腰をきつく縛った縄と、足首を片方ずつ縛った縄、そして、腕を背後でひとまとめにした縄の全てが一つに束ねられ、海老反りに近い体勢で宙吊りにされている。開口具には手綱のような金具と紐がついており、顔を下へと向けようとするたび背後から強い力で引かれた。
さらに、後孔の中はシリンダーで数回にわたり注入された温 い液体で満たされており、断続的に襲う痛みに意識を落とすこともできない。
「大丈夫。もう怒ってないよ。せっかく場所を変えたんだ。和真も愉 しもう」
「ふぁ……あ」
笑みを浮かべて囁いた奈津が人差し指と中指とを口腔内へと挿 し入れてくる。反射的に舌を絡めれば「いい子だ」と褒められた。
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