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「口で奈津を満足させたら、これ、抜いてやるよ」  アナルプラグをグリグリと回転させながら、薫が低く命じてくる。 「うぅっ……ん」  こんな状況で、拒否などできるわけもない。やらなければ終わらないことを知っているから、和真は不自由な体を(よじ)って動ける範囲で頷いた。 「がんばれ」 「ふぁ……あっ」  すると、口から指を引き抜いた奈津が、目の前で下肢を寛げる。そして、開きっぱなしの唇へと、性器の先端を押しあててきた。  さきほど和真を散々(つらぬ)()かせていた陰茎は、今はわずかな兆しをみせているだけだ。  それでも、頬張るのが困難なほど確かな質量をもっており、強制的に開かれている和真の小さな口腔を、まるで支配者は誰なのかを知らしめるように、ゆっくりと時間をかけて奥深くまで満たしていった。  ***  香川家は、信州地方で先祖代々(あきな)いを生業(なりわい)としてきた家系である。もともと、裕福な一族ではあったのたが、江戸時代には豪商となり巨万の富を手に入れた。  以降、落ちぶれることもなく、香川一族は堅実に富を増やし続けて現在に至る。  国民誰もが知っているような有名企業とまではいかないが、地方を中心に規模の大きな企業を幾つも展開しており、地元では、名士と言われるくらいにその名が知られていた。  幕末や戦中戦後に何度かの危機はあったようだが、それでも今日まで安定した業績を上げ続けているのは、経営者である香川一族の結束が強いというのがひとつの理由ではあるのだろう。  それに加えてもう一つ、香川家は大きな切り札を持っていた。  それは――。 「和真、出すよ」  喉奥深くを何度も穿(うが)っていた奈津が、恍惚(こうこつ)とした表情を浮かべ、少し上擦った声を発する。と、間髪入れずに和真の体が痙攣し、アナルの縁がヒクリヒクリと伸縮するのが薫の位置から良く見えた。 「んっ! うぐぅ……うぅっ」 「イった?」  開口具から伸びる手綱を軽く引き、和真のペニスをやんわりと(つか)む。と、そこはまだ(かた)いままだったから、薫は喉を鳴らして笑った。

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