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「ごめ……なさい」   「謝らなくていい。どうする? 一人で処理できるなら、俺はここから出ていくけど」  「くっ、あ……」 (あつい……からだが) 「……いかないで、お願い……します」  はくはくと口を開閉させ、紡いだ言葉は条件反射によるものだ。今の和真には、突然昂った自分の身体を、どう処理すればいいか分からない。否、落ち着けば分かるはずなのだが、思考が追いついてこなかった。  これまでは、自分で処理する自由など、与えられていなかった。閉ざされた世界の中、この熱を収められるのは、奈津と薫しかいなかったのだ。  それに加え、和真には自慰をした経験がほとんど無かった。 「了解」    落ち着きのある低い声。次の瞬間、あっというまに下着の中へと滑り込んできた薫の手が、ペニスをやんわりと包み込む。   「あっ……ふうっ」 「もう腰が揺れてる。きもちいい?」 「う……んぅ」    薫からの問いかけに、下唇を噛みしめる。  それでも、ひんやりとした大きな手のひらに竿を扱かれ、我慢のできない吐息が漏れた。   いつもなら、簡単に墜ちる和真の姿を、二人で一緒に嘲笑(あざわら)い、「淫乱」と(さげす)まれた上、仕置きと称して様々なことを強要される。だから、できるだけ我慢しようとするが、そんな思考を見透かしたように、「何も考えずに、溺れていい」と、薫が耳元で囁いた。 「ごめ……」 「謝るな」   反射的に和真が紡いだ謝罪は瞬時に打ち消され、それと同時に、下着の奥まで入り込んできた指に会淫を押されたため、そこから生まれた強い愉悦に、目の前が白く染まってしまう。   「くぅっ、ん、あっ、ああっ」 「声が潰れる」  堪えきれず、ガタガタと身体を痙攣させ、悲鳴じみた嬌声を上げた和真の口が、薫の手のひらで塞がれた。 「んっ、んぐぅっ」 「気持ちいい?」  もう一度、薫に問われて和真は何度も頷き返す。尿道口を指で擦られ、同時に耳を舐められるうち、思考は霞み、与えられる愉悦だけが鮮明になった。 (中……に、欲しい)  後孔が酷く疼く。なのに、達することがなかなかできない。それは、どちらかの精を受け止めなければ、達することができないように、体へと教え込まれているから。つい先日も、薫の口へと粗相をしたあと、酷い折檻を受けたばかりだ。  

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