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「や、やぁっ……ん」  音を消された世界の中、注がれ続ける愉悦の渦に、心も身体も疲弊しきった和真は呆気なく堕ちてしまう。 「……く、もう、いく……」  すぐに達してしまいそうになり、教え込まれたルールに従い必死にそれを伝えれば……アナルの中から指が引き抜かれ、シャワーの飛沫をかけられた。 「……なん……で?」  あと少しの刺激があれば、達することができたのに……と、恨めしく思った和真が性器へ片手を伸ばしかけた時、ふいに頭を撫でられた。見上げれば、困ったような笑みを浮かべた薫の姿があったから、和真は思わずその体へと縋りつく。 「おねがい……いかせて……アアッ!」  長い期間、自慰を禁じられていたから、薫の顔を見た途端、懇願の言葉を紡いでしまう。しかし、言い終わる前に何かがアナルへ挿し込まれたため、体中へと鳥肌が立った。 「ぐっ……うう」  徐々に下腹を満たす熱には、嫌と言うほど覚えがある。  抱く前に、ヘッド部分を外したシャワーのホース部分を挿入され、後孔内を洗浄されるのはいつもの事だ。けれど、何度されてもこの感覚に慣れることはできなかった。 「く……んぅ」    薫の胸へと顔を埋め、下腹部を満たす圧迫感を逃そうとして浅い呼吸を繰り返す。  耳がまったく聞こえない分、全ての出来事が唐突だから、身構えることも出来ない和真は二人の動きに翻弄された。 「も……はいらない。やめて……ください」  どれくらい時が経っただろう?   実際には、短い時間だったのだが、かなり長く感じられた。  もう限界だ……と思った和真が泣きながらそう訴えれば、すぐにアナルからホースが抜かれる。 「え……あ」  願いがすぐに叶うことなど今まで一度も無かったから、怯えながらも振り向けば、アナルプラグを挿入している奈津の姿が瞳に映った。 *** 「ぐぅ……う」  わずかな膨らみを帯びた下腹部を撫でさする奈津の手のひらが、じわじわと圧を掛けてくる。  軽い吐き気に襲われながら「痛い」と喘けば、薫に顎を持ち上げられ、キスで唇を塞がれた。ほとんど同時に奈津が性器を掴んできたため、和真は内腿を震わせる。 「ぐぅ……んぅっ!」  一瞬にして吐精した和真はそのまま意識を断とうとするが、逃げるのは許さないとばかりに軽く尻を叩かれた。 「う゛ぅっ……ん」 (……怖い)  許しも無いのに粗相をしたら、仕置きをされると決まっている。だから、和真は体をガタガタと震わせ、すぐに訪れるはずの衝撃に身構えたけれど、結果痛みが襲うことはなく、代わりに耳栓を外された。 「悪い。外すの忘れてた」 「う……うぅ」   キスを解いた薫に言われるが、意味をなさない呻き声しかでてこない。 「苦しいよな。そろそろ()そうか」  背後から奈津の声が響き、すぐに体を抱き上げられた。射精の余韻で忘れていたが、言われた途端、腹部が激しく痛みはじめ、グルグルという音を立てる。  それから、トイレに運ばれアナルプラグを外された和真は、薫の腕に支えられ、奈津に下腹部を押されながら、注がれた湯を排出した。  その時、再び達してしまったけれど、いつもみたいに(おとし)める言葉を投げ掛けられることはなく、「よく頑張った」などと2人に褒められ泣きたいような気持ちになる。 「ありがとう……ございます」  その後、いったん床へ下ろされた和真は、2人の足元に(ひざまず)こうとしたけれど、「今日はいいから」の声が聞こえ、今度は身体の隅々までをバスタオルで丁寧に拭かれた。 「嫌だったら嫌って言っていい。怒らないから」  ベッドルームへ運ばれる途中、奈津から言われて激しく戸惑う。彼の様子がいつもとは違う事に気づきはしたのだが、これまでずっとそうだったように、「はい」と短く答えることしかできなかった。

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