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 *** 「んっ……うぅ」  動きを止めた和真のアナルへツプリと指を挿入し、浅い場所にある性感帯を刺激するように、くるくると中をかき回せば、(にぶ)い愉悦に悶える声が静かな部屋に小さく響く。  手のひらで軽く陰嚢を揉み、親指の腹で会陰へ圧をかけていくと、明かな嬌声を上げて腰を上下に揺らめかせた。 「アッ……アウゥッ」 「気持ちいい?」  尋ねれば、ハアハアと浅く呼吸をしながら、「……きもちいい」と返事を紡ぐ。きっと、彼の会陰にピアスを空ける日はそう遠く無いだろう……と、考えながら薫は口角を僅かに上げた。 「俺にやらせて」  少しすると、準備を終えて戻った奈津が、傍らに座りキスをしてくる。「了解」と返した薫が後孔から指を引き抜けば、もどかしげに体をよじり、「なん……で?」と喘ぐ和真の姿が(なま)めかしい。 「ちょっと我慢な」  顔の側へと移動した薫は喘ぐ唇へキスをする。と、離れた瞬間「や……」と切なげな声がしたから、今度は深く口づけた。 「ん……ぐぅっ」  上顎を舌の先でなぞり、それから舌を強く吸い、角度を変え、小さな口腔を余すことなく味わっていく。途中、大きく体を震わせた彼が息を一瞬止めた理由は、見えていなくても理解できた。  奈津が浣腸器の先端を、後孔へと挿し込んだのだ。 「んっ……ぐうぅっ」 「少し腹が膨らんできた」  奈津が呟く声と同時に、和真が苦しげな声を漏らす。点滴のような形状をした浣腸器から、少しずつ液を注入される感覚は、和真にとっては馴染みの深いものだろうが、馴れる様子はまるで無いから、きっとかなり辛いのだろう。 「大丈夫? セーフワード、言ってもいいよ」  キスを解き、なるべく優しく薫が告げれば、青ざめた顔をした彼は……虚ろにな瞳でこちらを見上げ、首を僅かに横へと振った。  ややあって、体がカタカタと震え始め、苦しげに顔を歪めた和真は「痛い」と悲痛な声を漏らす。 「もう少し我慢……な」  気を逸らすために乳首を摘み、リングピアスごと揉んでやれば、縋るようにこちらを見つめる瞳から、涙がポロポロと溢れはじめた 。 「全部入った」  視線の先では、奈津がローションをアナルプラグへと垂らしている。下腹を撫でた彼は、「かわいい」と囁いてから、浣腸器のホースを手早く後孔から引き抜いて――。 「あっ……あぁっ!」  液が流れ出さないように、一気にプラグを差し込んだ途端、和真は体を痙攣させ、シーツを爪でかきむしった。 「……たい、痛い……でる、だしたい。トイレ、行かせてくださ……ねがい……します」  目尻に涙を浮かべながら、懇願してくる彼の表情は哀れなほどに妖艶で、危うく理性の箍が外れてしまいそうになるけれど、必死にそれを押し留める。 「いいよ。今、連れていってあげる。もう少しだけ頑張れる?」 「……はい、も……すこし……なら」 「ここ、綺麗にしような」  同じ気持ちなのだろう。  少し膨れた和真の腹を撫でながら、艶を纏った声音で話す奈津の様子を瞳に映し、薫は唇に苦笑を浮かべ「救えないな、俺たちは」と、自嘲気味に呟いた。

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