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*** 「うっ、うぅっ!」  上顎(うわあご)から喉の奥を擦られるたび、苦しいけれど気持ちが悦くて和真の体は跳ね上がる。同時に後孔を激しく穿たれ、自分の体が常に達しているかのような恍惚感に飲み込まれた。 「んぅ……ぐぅ」 (きもちいい……きもちい……)  ぐちゅぐちゅという卑猥な音が、途切れること無く鼓膜を震わせる。行為自体は以前と変わらず激しいもののはずなのに、彼らの言葉を信じたせいか? 恐怖を感じることは無かった。 「ここ、気持ちいいよな」  喉のあたりを指で押しながら薫が尋ねてくるけれど、返事ができる訳もないから和真は腕を上へと伸ばす。すると、手のひらをそっと包まれたから、返事の代わりにその手をギュッと握りしめた。 (伝われば……いい) 「かわいい」  聞こえてくるのは奈津の声。同時に後孔を穿つスピードが速くなり、咥えている薫の性器が奥へと入り込んでくる。 「んぅ……ヴゥッ!」 「やば、搾り取られる」  唸るような低めの声と、荒くなった息づかい。 「和真、少し我慢な」 「うぅっ……うぅ――っ!」 (くるしいっ……くるしっ)  同時に頭を固定され、何度か激しく穿たれたのち、なま暖かい液体が、食道の奥を満たしていく。 「俺も」と呟く奈津の声をどこか遠くに聞きながら、和真は意識を落とそうとするがそれは許してもらえなかった。 「んっ……ぐんぅっ」  乳首を彩るピアスを引かれ、そこから生まれた痛みと愉悦で現実へと引き戻される。 「俺たちを全部受け入れて」  艶のある奈津の掠れ声。内側から臍のあたりを圧迫してくる彼の切っ先が、いつもは入らない奥深くへと進入してこようとしている。 (こわい……苦しい……) 「うっ……うぅっ……ぐんぅ」  口腔内に溜まった精液を必死に嚥下していると、暫しして、ズルリと性器が引き抜かれた。上顎が擦れる愉悦で和真は再び軽く達したが、本人はそれに気づけない。  開口具が外された途端、激しく咳き込んだ和真の体は薫の腕に支えられ、クッションを取り払われた後に背中からふわりと抱きしめられた。   「あっ、あぁっ」 「飲んでくれて、ありがとう」  咳がようやく収まった時、小さく耳元で囁かれ……和真の心で張りつめていた緊張の糸がプツリと切れた。 「おなか、おなか、苦しい……奈津、薫……たすけ……て」 「うん、苦しいよな。どうする? 抜いて欲しい?」  奈津が僅かに腰を引き、涙を流す和真の目尻を舌で舐めとる。 「嫌だったらセーフワード、言って」  薫に耳朶を甘噛され、和真が「いわない」と答えた瞬間、奈津が動きを再開した。奥へと進入した先端から、無意識のうちに逃れようとした体は薫に押さえられ、気が狂いそうな快楽の波が次から次へと押し寄せてくる。 「いっ、あっ……あうぅっ、ふかい、こわい……」 「でも、ここは気持ち悦いだろ?」  薫の手のひらに下腹部を緩く圧迫され、ドライで達してしまった和真は、「きもちいい」を繰り返すけれど、焦点がうまく定まらず、呂律も回っていなかった。 「やばい、中……締まる」  切羽詰まったように紡がれる低い声。刹那、腹の中へと注がれた熱に、これまで感じたことの無いような愉悦が背筋を突き抜けた。 「いっ! いく……いくっ……あっ……あぁっ」  目の前が白い色に染まり、自分の意志とは関係なしにつま先が何度か宙を蹴る。 「上手にイケた」 「あっ……あ」  射精の余韻に(ほう)けていると、萎えかけている和真の性器を緩く掴んだ奈津に褒められ、心の底からわき出したのは喜びに近い感情だった。 「奈津、薫、あいして……ずっと……んぅ」  スルリと零れた和真の本音は奈津の唇で塞がれたけれど、気持ちは2人に伝わったようで、「愛してる」という薫の声が心を優しく揺さぶった。 (きっと、俺はおかしくなったんだ。でも、それでも……)  愛してる。  愛して欲しい。  たとえ形が(いびつ)でも……2人によって注がれる愛ならその全てを受け容れたい。      徐々に薄れる意識の中、久方(ひさかた)ぶりの激しいセックスで疲弊しきってしまった体とは裏腹に、和真の心はこれまでに無い幸福感に包まれていた。  

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