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告白 ①
「え??」
専門学校からの帰り道。同じ学科の男に声をかけられた。
その男は確か太田という名前だった。何回か会話をしたことはあったが、親しい間柄ではなかった。かなり人見知りするタイプのようで、いつも1人で行動していた。見た目はどこにでもいるような普通の専門学生、という感じで顔も別に悪くない。だけど、服装がとても地味で表情も暗かったので学科でも存在を忘れられるようなタイプだった。本人もそれを望んでいるような感じだった。
だから、まさか向こうから話しかけてくるなんて思ってもみなかった。そして、その話の内容に亜貴は更に度肝を抜かれた。
「あの……よう意味が分からへんかったんやけど……」
声をかけられて、お茶に誘われた時点でおかしいなと思うべきだったのかもしれない。でも、元々、人に対して距離が近い亜貴は、頼まれたり、困っていたりする人間を放っておけないたちだった。
こんな、あまり会話もしたことがない自分に勇気を出して話しかけてきたということは、よっぽど何か悩みがあるのかもしれない。そう思い、一緒にお茶することを快諾したのだった。
「やから……その……付き合ってほしいんやけど……」
「…………」
まさか。用件が愛の告白だったとは。男から告白を受けたことは初めてだった。
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