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告白 ②

 とりあえず念のために確認する。 「それって……どういう意味の付き合うなん?」 「……恋愛関係の付き合うなんやけど……」 「……男の俺と?」 「……おん」  沈黙が生まれた。不思議だった。どうして自分なのだろう。 「聞いてもええ?」 「……なに?」 「なんで俺なん? 俺、男やし。太田とほとんど喋ったこともないやん」 「……絆創膏……」 「は? 絆創膏?」 「前……一緒に飼育当番になった時のこと覚えてる?」 「……ああ」  覚えてなかった。が、覚えているフリをした。確かに何度か太田とは飼育当番で当たってはいると思うが。2人きりではなく、他にも何人かいるし、一体どの時のことを太田が話しているのか皆目見当がつかなかった。 「俺がウサギに引っかかれて、結構深く切り傷ができてん。他の奴らは気づいてもなかったみたいやけど、工藤はすぐに気づいてくれて、絆創膏くれた」 「そう……やったかな」 「おん。ほんで、大丈夫か? 言うて笑いかけてくれて。その笑顔に惚れてん」 「…………」  これまた全く覚えてなかった。亜貴にとっては怪我した人間に絆創膏を配ることなど日常茶飯事だったので、特別でもなんでもないのだった。 「それから、工藤のことをよう見るようになって。人に気ぃ使ったり、優しくしたり、その……顔が可愛かったり、そういうんずっと見てたらもっと好きになって、もう我慢できひんくなってん」 「…………」  もちろん、彼に対して恋愛感情などないけれど。面と向かって、こんなにはっきりと気持ちを伝えられるのは恥ずかしくもあり、嬉しくもあった。  ふと、洋介の顔が浮かぶ。  この10分の1でも気持ちを出してくれたら、不安になることなんてないのに。 「太田」  名前を呼ぶと、ずっと目を合わせず下を向いて話していた太田がおそるおそる顔を上げた。真正面から目を合わせる。亜貴は心を込めて頭を下げた。 「ごめん」 「…………」 「俺、今、付き合ってるやつおんねん」 「……そうなん?」 「おん。やから、太田の気持ちには応えられへん。やけど、気持ちは嬉しかったわ。ありがとうな」 「……そうか……」  分かったわ。そう太田が小さく呟いた。  それから、世間話を少しして何事もなく別れた。太田は意外にあっさりとした態度だったので、後腐れなくこれからも同級生でいられるだろうとこの時は思っていた。  が、それは間違いだった。

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