「……洋介？」 「ごめん」 「は？え？」 「守ってやれへんくてごめん」 「…………」 「……怖かったやろ」 「…………」 　洋介の背中に両腕を回した。ぎゅうっと洋介のTシャツを思い切り掴む。 「怖かったけど……もう大丈夫やで。何にも警戒せんと行った俺も悪いねん。やから、洋介がそんな風に悪いと思うことないねんで」 　洋介の腕に更に力が込められた。 「痛いってぇ」 「…………」 「でも、ほんま、あいつが俺の初めてのやつにならんで良かったわ」 　ちょっと冗談めかして亜貴が言うと、洋介が力を緩めて腕の中の亜貴を見下ろした。 　その洋介の瞳を真っ直ぐに見返す。こうなったら。もう言ってしまおう。これで2人の関係が変わってしまったとしても。どうせこんな状態で続けていてもいつかは確かめなくてはいけない時が来るのだから。 「なあ、洋介」 「……なに」 「俺なぁ、ずっとなんでやろうって思うててん。いつも洋介は俺とヤりたがらへんやろ？」 「それは……」 「そういう雰囲気になっても、いつもさりげなく止められるいうか、避けられるし」 「…………」 「洋介、ほんまは後悔してるんちゃう？」 「……なにを？」 　洋介が眉を潜めて怪訝そうな顔をした。 「……俺と付き合い始めたこと」 「は？」 「付き合ってみたはいいけど、やっぱり男の俺より、今日見たあの可愛いらしい女の子みたいな子の方がええなと思ってるんちゃう？」 「……お前、何言うてんの？」 「でも、俺はそれはしゃーないことやと思うねん。そもそも男同士ってところから無理があるわけやし。俺は小さい頃から洋介が好きやったから抵抗もなにもないけど、洋介からしたら抵抗あるのは理解できるし」 「ちょお、待てや」 「やから、もし洋介が後悔してるんやったら、悪いなって。幼馴染みで付き合いも長いから、俺のこと無下にできひんくて、言い出せずにいるんやないかって」 「おいっ」 「もしそうやったら、俺、洋介とわか……んっ……」 　話の途中で洋介に止められた。