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第6話

「ふざけた口叩きやがる。俺に犯られんのを怖がってんのはてめえの方だろうが。後悔させてやってもいいんだぜ? それとも素直に降参するか? お約束ってやつに従って、今後一年間、俺らの手下に成り下がるってんなら大歓迎だぜ?」  思い切り高飛車な態度でニヤけまじりだ。何だか酷く楽しそうな氷川の様子に、紫月の方はチ苦虫を潰したような表情で氷川を睨み付けた。 「ふざけてんのはてめえだろって……! 誰が降参なんかすっかよ」 「じゃあグダグダ言ってねえで、サッサと条件呑みやがれ! いいか、一之宮。俺はてめえをリンチだのミンチだのにしてえとも思わねえし、実際そんなもんじゃ満足できねえわけだ。ケツをくれんのが嫌だってんなら、さっさと降伏しちまえっての!」  未だ面白そうにニヤニヤと笑っている。どのみちお前らには服従しか選択肢は無いと言われているようで、紫月はブチ切れた。  だがここで引いてはそれこそ相手の思うツボ、文字通り自身の面目も丸潰れだ。紫月はふと微笑むと、 「へえ、そーかよ。一発ホらせりゃいーんだな? いいぜ、そんなんでいいならお安い御用!」  自分よりも若干上背のある氷川の顎先に指を這わせ撫でながら、色気めいた視線まで携えてニヤリと笑ってみせた。そして、氷川だけに囁くように耳元へと思い切り唇を寄せる。 「なあ氷川。てめえ、随分とあの楼蘭の野郎に興味持ってたみてえけど――一目惚れでもしたってか?」  図星だろうと言いたげに、からかい文句を口にする。同じ男である自分にいかがわしい条件を突き付けてくるくらいだから、案外そういう趣味でもあるのかと思ったのだ。 「俺はさしずめ当て馬かよ? とんだ貧乏くじ引かされちまったぜ」  クククと鼻先で笑いながらおちょくってやる。そして言葉通りというわけなのか、すぐさま羽織っていた学ランに手を掛けると、あっさりとそれを脱いで放り投げてみせた。しかも中に着ていたシャツのボタンを一つ二つと外し、準備万端といったように素肌を晒していく。これには氷川よりもその場にいた全員が驚かされてしまった。  呆気にとられる者、予期せぬ興奮に思わずゴクリと喉を鳴らす者など様々で、一時倉庫内が騒然となる。  条件を突き付けた氷川当人は若干バツの悪そうに片眉を吊り上げ、だが挑発めいた紫月の行動が満足だというようにすぐにニヤリと瞳をゆるめると、 「は――、好き勝手抜かしやがる。だがそれも悪くねえかもな? 楼蘭のあいつ、今時珍しく根性のありそうなヤツだったし――興味を惹かれたってのも事実だしな。てめえを当て馬にすんのも面白えじゃねえか」

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