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第246話

「て……めえら……、ふざけやが……って! ンなこと、させ……っか……!」  床を這いずるように手を伸ばし、渾身の力を込めて氷川が立ち上がらんとした。だが――、 「てめえはおとなしく見物してりゃいいんだって!」  今度は筋者の二人が氷川へと襲い掛かり、胸倉を掴み上げて思い切り張り手を食らわせた。 「ぐはッ……ぁ!」  氷川は吹っ飛び、だがそれだけでは済まずに、床へと伏したまま続けざまに蹴りを食らわせられた。そんな様子を横目に、ベッド上ではもう二人の男たちが冰を組み敷いて、容赦なく服を剥ぎ取っていく。 「やめろッ! よせって言ってんだ! 放しやがれ、クズ野郎共が……ッ!」  冰も負けじと目一杯強気を装って抵抗するも、こんな遊びに慣れた男二人が相手では思うように逃げられない。 「放せって言ってんだ! 白夜にこれ以上酷えことすんな!」  暴れ、もがき、足をバタつかせて必死の抵抗を続ける。 「はん! 可愛げのねえガキだな! 彼氏の心配よか、てめえの心配でもしとけってんだ!」 「おい、さっきの薬嗅がせちまえ! そうすりゃ(じき)に可愛く()き出すってよ!」 「おお、そりゃいいわ! ちょっと待ってろ。今、薬出す!」  男の一人がビンから液体を布地へと染み込ませ、もう一人には背中から羽交い締めにされて、布地が冰の口元へと押し付けられる。 「ほら、嗅げよ! 嗅げってんだよ!」 「んー……! ん、ん……むぅ……ッ」  冰は思いきり息を止めて、暴れながら抵抗し続ける。思うようにいかないことに焦れた男が、終には冰の頬に張り手を食らわせて、ひるんだ隙に一気に制服のズボンと下着までをも剥ぎ取った。 「や……ッ! 何すんだ! 放せッ……放して……くれ……! 俺に触るなー……!」 「うるせえ、クソガキがッ! おとなしくしやがれ!」  ついには冰の両脚を抱え上げて組み敷き、恥辱の格好を見下ろすようにして男が息を荒げた。 「可愛がってやるって言ってんのによー! こうギャアギャア騒がれりゃ興醒めだ! このまんま()ってやる!」 「や……ッ! 嫌だ! 放せ! 放せぇーーーッ!」  冰は狂ったように叫び続け、ついには声も()れて出なくなる。代わりに滝のような涙が整った綺麗な顔立ちをぐしゃぐしゃに濡らしていった。 『や……嫌だ……! 白夜……白夜ぁーーー!』  声にならない声で、冰は泣き叫んだ。  そのすぐ側では、氷川が筋者の二人に髪を鷲掴みにされて、冰が辱められる様を見ろとばかりに拘束されていた。張り手と蹴りを食らい、既に息も絶え絶えだった。 「おら! しっかり見てやんなって! てめえの可愛い恋人君がせっかくいい声で啼いてくれてんだ! てめえにとっても最高の見世物だろうがー!」  グイと両脇から抱え上げられ、立ち上がらせられた時だ。最後の力を振り絞って氷川は二人を振り切ると、もつれる足取りでベッドへと駆け寄った。

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