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異世界へ(4)

『ドリナ先生』と呼ばれた白衣を着た人は、七三分けの銀の髪を揺らしながら“ルース”と入れ替わりに俺の側に来た。 少し年配の彼は、穏やかな優しい目をしていた。 「失礼致します。」 と、俺の手首を取って脈を測ると、身体のあちこちを遠慮なく触診していった。 はぁ、お医者さんか。俺も黙ってされるがままになっていた。 ルースは心配そうにそわそわと見つめている。 その様子が、何だかかわいく見える。 暫くすると 「先刻から申し上げているように、意識が戻られたのでもう大丈夫です。 ただ、衰弱されているので、十分な栄養と休養が必要です。 、元の世界の料理とまではいきませんが、しっかりと召し上がって下さいね。」 「おっ、お妃様ぁ!?」 「とにかく安静第一、。 ルース様、よろしいですね?しかとお伝えしましたぞ。」 お妃様、お妃様…ぐるぐると頭の中を巡る単語。 番って、マジだったんだ… 何故か頬を赤く染めるルース。 「わ、分かっている!無体なことはせぬ! ガルーダ、ドリナ先生をお送りしてくれ。」 「承知致しました。」 「ではお妃様、ごきげんよう。」 「あっ、ありがとうございましたっ!」 ついつい反応してお礼を言ってしまった。 2人が和やかに退出すると同時に、ルースは速攻で俺の側に飛んで来て跪いた。 そして両手で俺の右手を包み込み、祈るように自分の額に押し当てた。 「(えい)。」 「はっ、はいっ。」 何で俺の名前を知ってるの? 顔を上げたルースは 「何かと戸惑うこともあるだろうが、何でも俺に言うように。 俺がいなければガルーダに言うといい。 あれは、お前専任の世話役だから、遠慮せずに伝えろ。」 「あの…」 「何だ?」 「どうして俺の名前を知ってるんですか?」 ルースは、あぁ…と呟いて 「お前に関する情報は、ずっと水鏡に全て写ってきていたから。 召喚できたのは…あの時、聖水を持っていただろ?」 「ずっと?聖水?」

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