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異世界へ(7)

「ルース…」 「何だ?何処か痛むところでもあるのか?」 俺はゆっくりと首を横に振った。 …大丈夫、これくらいでは痛みはない。触ると痛いのは、きっと打撲のせいだろう。 何たって、たんこぶができてるんだから。 「俺がこの世界でしか生きていけないのは分かった。 教えてくれ。 俺が天涯孤独なのはに来るために、元の世界に少しでも未練が残らないように、ってことだったのか? 情が湧くものを排除するために不幸体質だったってことか?」 ルースは少し考えて 「恐らく。」 俺はため息をついた。 それなら最初からこの世界に生まれさせてくれればよかったのに。 一体、誰が何の目的で俺を選び、俺の人生を弄んでいるのか。 ひとの人生、何だと思ってんだ。 考えたら無茶苦茶腹が立ってきた。 と同時に、腹の虫がグゥと鳴った。 そう言えば1週間意識がなかった、と言ってたっけ。 「ガルーダ!霙に何か食べる物を!」 ルースが扉の外に向かって呼び掛けると、すぐさま 「失礼致します。」 と、食欲をそそる匂いと共に、ガルーダが現れた。 早っ。ずっと待機していたのか? 「1週間何も召し上がっていないので、まず、今はスープをどうぞ。 落ち着いたら少しずつ固形物に変えていきます。」 背中に手を添えゆっくりと起こされた。 差し出された皿には、具が何もない澄んだ色のスープが注がれていた。 「俺が食べさせる。」 いやいや。 「大丈夫です。自分で食べます。」 俺の拒絶プラス、ガルーダに視線で制されたルースは、大人しく手を引っ込めた。 「いただきます。」 スプーンでそっと掬って匂いを嗅いだ。 こんな状況でもお腹は空くんだ。 いろんな野菜の匂いがする。 そうか、この世界にも野菜があるのか。 こくん 「…美味しい…」 「ようございました。料理長が『霙様が早く元気になられますように』と心を込めて作ったスープです。 聞いたら喜びますよ。」 「…ありがとう。『とっても美味しい』って伝えてほしい。 直接お礼を言いたいけど、まだ動けそうにないから。」 「承知いたしました。」

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