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伴侶の自覚(1)

鳥の囀りをかき消すように、ざわざわと何やら大勢の人の声がする。 眩しい…もう朝?はっ、ヤバい、今何時?遅刻するっ! 起き上がろうとしても起き上がれない。 身体が怠くてあちこち痛い。 あれ?ここ何処だ?俺の部屋じゃない。 まさか、あれは夢じゃなかったのか? 上下左右に視線を巡らすと、やっぱり…ここは龍の国だ。 「霙様、おはようございます。ご気分は如何ですか?」 「おはようガルーダ。身体が怠くて動けない。 あ、『様』は止めてよ。」 「そういう訳にはいきません。 身体の怠さは暫く我慢して下さいませ。徐々に回復するとドリナ先生も仰ってました。 何か召し上がっては?フルーツもありますよ。」 「昨日のスープある?」 「はい!料理長が張り切りまして、ぽたーじゅもご用意できます。」 「えっ、ポタージュも!?じゃあ、せっかくだから両方お願いできる?」 「承知いたしました。」 すぐさま準備されたそれらを完食した俺は 「ガルーダに聞きたいことが沢山あるんだ。 その前に…ねぇ、さっきから外が凄く賑やかなんだけど、何かやってるの?」 「あぁ…何処からか霙様のお越しを聞きつけた者達が、勇足でお祝いに駆け付けているのですよ。 やっとルース様にご伴侶が現れたと。 長らくみんなが待ち望んでいましたから、あわよくば霙様のお顔を一目見ようと集まってきているのです。 流石に空から覗き見しようなんて輩は全てシャットアウトしてますからね。 我が国の軍隊は優秀なんです。 ですから、地上からお城の周りを囲んでお祭りムードなんですよ。」 「マジか…ねぇ、俺が伴侶って本当なの? 俺、ルースとおんなじ男なんだけど。」 「問題ありませんよ。」 ガルーダは何てことない、と笑いながら言った。 「ご心配いりません。 霙様がルース様を心からお慕いし愛した時に…その時がくれば分かります。 霙様、ルース様とお会いになった時にどうお感じになりましたか?」

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