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伴侶の自覚(6)

寂しそうな笑顔のガルーダが、ゆっくりと首を横に振ったのを見て、先々代のお妃様がもうここにいないことを悟った。 そのひとは…で幸せだったのだろうか? 今はこれ以上…聞いてはいけない気がして口をつぐんだ。 …ひと口掬って冷ましてから口の中へ。 もぐもぐ…ごくん。 これを作ってくれたひと。 材料を調達してくれたひと。 作り方を教えてくれた先々代のお妃様。 あれこれ考えてくれたひと。 そして…ここにいつ来るか分からない俺のために準備万端整えてくれていたルース。 それに応えて色んな設えをしてくれたガルーダ達。 いろんな人達の思いがひと口毎に膨らんで、俺は胸が一杯になって食べるのを止めてしまった。 「霙様?」 スプーンを持ったまま動きの止まった俺に、ガルーダが心配そうに声を掛けた。 俺は手に持っていた食器をトレイに置きガルーダに頭を下げて言った。 「ガルーダ、本当にありがとう。 こんな俺のために、ガルーダや沢山の人達が動いてくれていたんだね。 俺…ここに来る前から、大勢の人達に思ってもらってたんだね…」 そこまで言うと、鼻の奥がツンとして不覚にも涙が出てきた。 「霙様…」 ガルーダがそっと俺の背中を摩ってくれる。 「霙様は、私達が首を長くしてお待ち申し上げていたルース様のご伴侶。 不安なことも沢山おありでしょうが、私達が全力でサポート致しますから、どうかルース様を…そしてこの国を愛して下さったら嬉しいのです。 それにはまずお元気にならなくては! しっかり食べてお休みになって。 ルース様は、あちこち一緒にお出掛けになるのを楽しみになさってますよ。 さ、温かいうちにお召し上がり下さい。」 「…うん、ありがと。」 俺はまたひと匙掬うと口に運んだ。 美味しい。沢山の思いの篭った雑炊。 (ありがとう)と思いを込めて飲み込んだ。 今日はお代わりもした。 デザートのフルーツも食べれた。 ふぅ、ちょっと食べ過ぎたかな。 お腹をさすりながら窓の外を見ると、遙か遠くに金色の筋が見え、それがぐんぐん近付いてくるのが見えた。 「ん?あれは……」

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