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怖いもの知らず(4)

俺はその腕から逃げようと、必死で手足を滅茶苦茶にバタつかせて暴れた。 「離せっ!離せよっ!お前ら誰なんだ!? 離せって!!」 「はははっ!威勢の良いお妃さんだな。 おーーい!丁重にお迎えしろ!」 ポーーン、と勢い良く空中に投げ出された俺は、屈強な男達に受け止められ、そのまま連れて行かれる。 「うわぁっ!おいっ!離せよっ!何処に連れて行く気なんだ!?」 叫ぼうが暴れようがお構いなしで、今までの建物とは違う、少しマシな家に運ばれた。 「ボス!連れてきましたぜ。」 ボス?ここのトップか? 俺は両手を押さえられ、床に跪かされた。 力を込めて振り解こうにも、数センチすら動かない。この馬鹿力め。 何で…コイツら俺のことを『お妃さん』だなんて… 「ほほう…コイツが噂のお妃さんか。 美人だけど中々気の強そうな顔してるなぁ。 おい、名前は?確か…『えい』って言ってたよな。 何で護衛も付けずにこんな所うろついてるんだ? ルースと喧嘩でもしたのかよ。」 はっはっはっ 小馬鹿にされたような笑い声が響く。 俺は黙ってそいつを睨み付けていた。 「……そういうアンタは何者なんだよ。 もう暴れないから、手を離すように言ってくれないか?痛くて仕方がない。」 「そりゃあ悪かったな。おい、離してやれ。」 俺は腕を摩りながら、もう一度尋ねた。 「アンタは誰?ここは何処?」 「ははっ。そんなに聞きたいか? 俺はここら辺一帯を統治してるキリヤだ。 ここはイスナと呼ばれている。 まぁ、世間的にはならず者の集団、と言われてるけどな。 一般のマトモな奴らは近付くことすらないのに、アンタは何でこんな所に?」 「…夢中で走ってるうちに迷ったんだ。」 「鬼ごっこでもしてたのか? 全く王族共はよっぽど暇なんだな。」 「違う!俺が勝手に城を抜け出したんだ。 ルースは寝る間も惜しんで政務に当たっている。 皆んなこの国が少しでも良くなるように、必死で働いているんだ! そんな、馬鹿にするような言い方はやめてほしい。」

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