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怖いもの知らず(5)

「ふぅん…この俺に意見するなんぞ、命知らずな奴だな。 まぁ、いいや。アンタと引き換えに、たんまりと身代金でもいただくとするか。 お妃さんよ、いい子で大人しくしてりゃあ無事に帰してやる。 妙な考えを起こすんじゃないぞ。 おい、部屋に連れて行け。」 「くっ…」 俺はまた両腕を拘束されて、引き摺られるようにある部屋に連れて行かれた。 そこはとても高い天井の上の部分に、明かり取り用の小さな窓が一つだけ。他の窓はない。 あとはベッドと1人掛けのテーブルと椅子が置いてあるだけだった。 「ベッドがあるだけいいと思えよ。」 そう言って男達は出て行った。 間もなく、扉の下の小さな穴から 「晩飯だ。」 と、水の入ったコップとパンが一切れ差し入れられた。 こんな所でもパンはあるんだ。 それを見て、自分がやっとお腹が空いていることを思い出した。 食べれる時に食べなければ。 パサパサの固いパンを咀嚼しながらぼんやり考えていた。 今頃ガルーダ達は大騒ぎしてるんだろうな。 いや、ルースに叱責されたりしてないだろうか、もしそうだったら俺のせいなのに。 身代金って一体幾らなんだろう。 俺、何て馬鹿なことをしちゃったんだろう。 今更ながら、自分の立場というものを思い知らされる。 「ご馳走様でした。」 トレイごと扉の小窓の前に置いた。 何となく、外がざわめいている。 時々「医者はどうした」とか「早くボスを呼べ」とかがなり合う声が聞こえる。 どうしたんだろう。誰か病気なんだろうか。 小窓を開けて呼んでみた。 「すみませーーん!」 …無視された。もう少し大声で 「すーみーまーせーーん!!」 「何だ!今忙しいんだ!後にしてくれ。」 「誰か病気なんですか?」 「ボスの娘さんが高熱なんだ。 ボスは所用で出掛けていなくって…そうだ! アンタ異世界のお妃だろ!? どうにかできるか?」 「はあっ!?」 この無茶振り、何だ!?

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