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怖いもの知らず(6)
「異世界から来たのなら何か知ってるはずだろ!?
身体中に赤い発疹が出てるんだ。
それに凄い高熱で……
おーい!誰か鍵持って来てくれ!」
反論する暇も与えられず、部屋から引き摺り出された俺はある部屋の中に押し込まれた。
赤い発疹!?俺の知ってる病名は『麻疹』しかないけど。
ここの国の人は罹ったことないんだろうか。
小さなベッドには、こんもりと何かが布団を被り、時折唸り声が聞こえる。
「お嬢!ちょっと顔を見せて下さい!
龍王のお妃が来てるんです!
何か分かるかもしれない、お願いします!」
その声掛けに、ゆっくりと布団が下ろされ、ひょっこりと少女の顔が現れた。年の頃は小学校低学年くらいか?
目は潤み、少し顔は浮腫んでいるようだが、青い髪でボスによく似ている。
顔は赤く、吐く息も荒くて熱い。
「ごめん、ちょっと『あーん』して口の中を見せて。」
戸惑う素振りを見せながら、彼女はゆっくりと口を開いた。
ポツポツと白い斑点が広がっている。
麻疹の症状に似ている。きっとそうに違いない。
「今は熱が出てしんどいけれど、少ししたら楽になるからね。
心配しなくていいから。
あのー、タオルを4、5枚と冷たい水を貰えますか?」
心配そうに見つめる男に頼むと、すぐに持ってきてくれた。
固く絞り、“お嬢”に断りを入れてから、脇の下と耳の後ろ、そしておでこに、布団やシーツが濡れないように当ててやる。
そしてドアの外にひしめき合う男達に呼び掛けた。
「小さい頃、同じような症状になった人はいますか?その人はもう移らないから側にいても大丈夫です。
なったことがない人は、出来るだけ離れて換気の良い部屋にいるように。
皆んなしっかり睡眠と栄養を取って下さい。」
途端にわらわらと出て行く者、その場に留まる者、騒然となった。
俺は定期的にタオルを濡らしては変えてやり、口に水を含ませてやった。
あぁ…アイスでもあれば食べさせてあげれるのに。
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