33 / 191

非常事態(5)

己を責めている間にも、あちらこちらから情報が次々入ってくる。 「霙様らしき男性が森の方に走り去るのを見た者がいます!」 「路地へ走り去る後ろ姿を追いかけたが見失ったそうです!」 「路地までの足取りは掴めたのですが、それ以降は…」 どれも似たような報告だった。 フードを被っているであろうが、小柄で見慣れない顔立ちの霙様は目立つ。 それに加えて、盗み撮りされた霙様の写真が新聞に載ってしまっていた。 ルース様の伴侶だと分かれば、良からぬ考えの者が霙様を…… まさかそこで誰かに拉致されたのでは!? ぶるりと身体が震えた……霙様っ…… 最も最悪な情報が入ってきた。 「どうやらイスナの町に迷い込んだ模様。 町の入口へ向かいます!」 あぁ…何てことだ…よりによってイスナの町とは…… イスナは我が国内にありながら、異端の者が我が物顔で支配する町。ならず者達の集まりだ。 独自の交易ルートを持ち、一つのを勝手に作り上げている。 何度も戦になったけれど、優秀な軍をもってしても決着がつがず、配下に置くことができなかった。 今では無駄な殺戮を止め、お互いに距離を置いて刺激しないように平静を装う日々が続いている。 そこへ人質として霙様が連れていかれたのだとしたら、どんな無理難題をふっかけてくるのだろうか。 それよりも霙様のお命はご無事なんだろうか。 あぁ、私が至らぬせいでこのような事態になってしまった。 何とお詫びしていいのか…… とにかくルース様にお伝えしなければ。 交渉なら私自らが赴く覚悟だ。 何としてでも霙様を無事に連れ戻すことを第一に考えよう。 「ルース様っ!」 「ガルーダ、霙は、霙の行方は掴めたのか!?」 「それが、どうやらイスナに迷い込んだようで、町の入口で部隊が待機するとのことです。」 「何だとっ!?霙は!?霙は無事なのかっ!?」 「それ以上のことはまだ分かりません。 ルース様、私をイスナに行かせて下さいっ!」

ともだちにシェアしよう!