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非常事態(6)
「ガルーダ、お前は霙がここに戻ってきた時に手厚く迎える準備をしてほしい。
……イスナへは俺が行く。」
「ルース様っ!?なりませんっ!
私めにお申し付けを!!!」
「霙が解放される時に、俺が1番に出迎えてやりたいのだ。
この腕の中に、霙を……」
「いけませんっ!王が直接行けば何をされるか…
とにかく私が参りますっ!」
そんな問答を繰り返しながら、私を振り払うように廊下に出たルース様を追い掛けていると、再びエリシオンが駆けてくるのが見えた。
「ガルーダ様ぁーーっ!
あっ、ルース様っっっ!!!」
「エリシオン、どうしたっ!?」
「はあっ、はあっ……イスナから霙様の書状を持った者が参りましたっ!」
「何っ!?イスナから?霙の!?其奴はどこにいるっ!?」
「取り押さえましたが全く抵抗せず…ガルーダ様にとりついでほしい、との一点張りで……」
「俺も行こう。」
「ルース様っ。」
「エリシオン、霙は無事なのか?」
「分かりません…ただ、今までのイスナの民の様子とは違っています。
戦闘的な空気が消えて、やけに大人しくて…」
「霙に何かあったのか。それとも霙が何かしたのか……」
広間の玉座の前には、前後左右から刀を突きつけられ、それでも泰然と胡座をかく男がいた。
ルース様に気付くと、即座に片膝をつき胸の前で左手の手の平に右の拳を当てる姿勢を取り頭を下げた。
その姿を見て私達は驚いた。
それは、従者が主 に取る絶対服従のポーズだからだ。
一体何が……
「霙様より、ガルーダ様にお渡しするようにとお預かりして参りました。」
そう言って胸元から差し出した書状には、確かにルース様が霙様に送った指輪が通してあった。
それを奪うようにして受け取り、ルース様にお渡しする。
「俺が霙に送った指輪だ……おいっ、霙は!?
霙は無事なのか!?答えろっ!!!」
「霙様はご無事です!」
その答えに全身の力が抜けそうになった。
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