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企み(4)

グルディは腕組みをして考えている。 暫しの沈黙の後 「今、ここで事を起こせば犯人は特定されてしまいます。 …だが、ルース様と霙様が心身共に結ばれてしまったらもう手を出すことはできなくなる。 それくらい思い合う国王とその番の絆は強固だ… 確かに最後のチャンスかもしれませんな。 我が軍が集結しているその最中に霙様の命を上手く仕留めることができるかどうか…… 失敗すればその時は………我らの命はない。 大きな賭けです。」 「…そうだ!がいるだろう? 例え失敗しても捨て置けば良い奴が。」 「ええ。 前報酬として、奴の家族は表向き裕福な生活をさせております。 ただ、人質として預かられていることを彼らは知りません。 奴は『自分の命を失っても家族さえ無事なら』と覚悟を決めていますよ。 元々が終身刑を受ける筈だったのを拾ってやったんです。 感謝されこそすれ、恨まれる覚えはありません。 まぁ、成功しようが失敗しようが、いずれにせよ消されることを知らないのですがね。」 「グルディ、お前、恐ろしい男だな。」 「お褒めいただき恐悦至極。」 含み笑いを抑えきれない2人の元へ、忠実な従者アイルがやって来た。 「大変です! イスナより遣いの者がやって来て、霙様の訴えを聞いて医師が派遣されるそうです!」 「何っ、どういうことだ!?医師? 何故霙の訴えをイスナの従者が伝えてくるのだ!?」 「詳細は分かりかねます。 しかしながら、イスナの民は完全に服従しているらしく…… どうやら“赤死病”が流行り出したらしいとのことです。」 「何と!赤死病となっ!? 一体何処から入り込んだのか……我等の年代の者なら罹患した者は多いが……これは困ったことになったぞ……それで?」 「たった今、ルース様自ら医師を連れてイスナに向かわれました。」 それを聞いたグルディは、真正面からラジェの目を射抜くように見つめた。

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