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イスナの町で(2)

くんくんと匂いを嗅いで一瞬戸惑いを見せたレイチェだったが、ぱくんとスプーンに被りついた。 「……どう?」 「おいしいっ!えい、これ、なに? つめたくってあまくって、すぐとけちゃった!」 「急に食べるとお腹壊すから、あとちょっとだけにして、残りは元気になったら食べようね。」 2匙ほど食べさせ水を飲ませると、レイチェはまだ食べたいと駄々を捏ねてはいたが、言い含めて横にしてやった。 「えい、ここにいて。」 「分かったよ。レイチェ、気持ち悪くなったりしたらすぐに言うんだよ。」 健気にも黙って頷いたレイチェは、またうととと眠りについた。 このまま熱が下がればいいんだけど。 俺の手紙は無事にガルーダの所に届いたんだろうか。 ルースは怒ってないのかな。 俺のせいで、ガルーダやジャティは罰を受けてはいないんだろうか。 みんな、勝手なことしてごめんね。 俺、どうなっちゃうんだろう。 いろんな思いがぐるぐる巡る。 とそこへ 「霙様…」 と、遠慮がちに俺を呼ぶ声がした。 ドアを見ると、俺をここに押し込んだ男が手招きしている。 え?俺また何処かに押し込められるのか? 恐怖が蘇り硬直していると、囁かれた。 「お食事の用意ができました。こちらへどうぞ。」 途端に空腹だったことを思い出した。 そう言えばさっきパン1個だったよな。 頷いて、そっと立ち上がった。 レイチェの荒かった息は、少し和らいだような気がする。 まだ熱い小さな頭をそっと撫で、念のため自分が戻るまで誰かついていてほしい、と言い残し、案内されるままついて行った。 俺が席につくと、数々の料理が並べられた。 この世界に来てから、シェフ達が作ってくれてた物と遜色もない程に。 「どうぞお召し上がり下さい。 お代わりも沢山用意してございます。 数々のご無礼、どうぞお許し下さい。」 片膝をつき左の手の平に右の拳を付け、頭を下げる男達。 最初とは真逆の対応をされて、俺はどうしていいか分からずフリーズしていた。

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