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イスナの町で(3)

「はあっ、美味しかったぁ…ご馳走様でした!」 出された料理は皆どれも美味しかった。 聞けば、この国に古くから伝わる伝統料理なんだそうだ。 俺、この国の料理好きだな。戻れたら料理長にお願いしてみよう。 「俺だけ沢山食べちゃって…みんなは? ちゃんと食べたのか?」 お腹が満たされて、やっと周囲に気を遣う余裕が出てきた。 監禁されたり何かされたりするという恐怖がなくなったせいもある。 「はい、皆それぞれに。 それよりもお嬢のことが気になって。 でも、霙様のお陰でここに医者も来てくれるというので、病気持ちの者達はそちらも気になるようで。」 「ガルーダには会えたの?」 「はい!手筈を整えて出発されたそうです。 本当に、何とお礼を言えば良いやら…」 「そうか…良かった… ところで、他にレイチェのように高熱を出してるひとは出てないのか? もしいたら、今まで掛かったことのない人達は近寄らないようにしないと。」 「小さな子供が何人か……やはり赤い斑点が出ているそうで。 霙様の仰る通りにしています。」 「親御さん達は心配だろうね。 でも、ドリナ先生がこちらに向かってくれているなら大丈夫だよ。 ご飯、本当に美味しかった。ご馳走様。 俺はまたレイチェの側にいてもいい?」 「え…霙様、よろしいので?」 「うん。レイチェと約束したから。」 「霙様……本当にありがとうございます…」 「あ、そうだ。 できれば… さっき作ったアイス、それらしい病状の子達にも食べさせたいな。 みんな高熱で食事も受け付けないだろうし。 持って行くことできる? ひと口ずつしかないだろうけど、みんなも食べてみてよ。 レイチェの分は残しておいてよね。なくなっちゃうと残念がるから程々にね。」 「我々も食べて良いのですか? 食欲のなかったお嬢も『もっと食べる』と喜んでいましたから。 実は気になってて……」 「あははっ。作り方も教えるからたくさん作ってよ。」 何だかぐっと距離が近くなった気がする。

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