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イスナの町で(14)
「さ、ここだ。」
俺が幽閉されていた部屋とは雲泥の差の客間。
シンプルであるが想像の上をいく、高級感漂い清潔感のある、人間界で言うところのハイクラスのシティホテルといった感じか。
「俺も古傷が痛むから、順番待ちの予約をしてくる。
食事の時間になったらノックするが……応答がなければ察してそれ以上は声をかけないようにする。
ごゆっくり!!!」
そしてキリヤは、ルースの耳元でひと言ふた言何かを囁くと、見る間に顔を朱に染めたルースの肩を叩き、笑いながらドアを閉めた。
「…全く…余計なお世話だ…」
ルースはそう言いながらカチリと鍵を掛けた。
「キリヤに何を言われたんだ?」
「…いや別に……
それより、霙、お前はどうして城外に」
「ごめんなさいっ!謝るから言い訳だけさせて!」
俺はルースの足元に跪いて頭を下げた。
そう。『ザ・土下座』だ。
「俺が悪かったんだ。勝手にいじけて腹を立てて……俺の捻くれた考えが、みんなを巻き込んで大騒動を起こしてしまった。
ガルーダにもジャティにも悪いことしちゃった。
本当に、本当にごめんなさい。」
「一体何があったんだ?城を抜け出すほど、何に腹を立てたんだ?」
「………だって、ルースが…」
「俺?俺がどうしたんだ?」
「…あんなに激務で…ちゃんと休んでるのかご飯も食べているのか気になって…ガルーダに聞いたら『いずれご自分の口からお話しされるでしょう』って言われて。
俺なんて、相談相手にもならない、必要ないんだ、やっぱり異世界でもたった1人ぼっちなんだ、って思っちゃったら居たたまれなくなって……気付いたら飛び出してた。」
「やはり俺のせいか…それはお前に例の話をしてなかったから」
「うん。今はちゃんと理解してる。
俺に余計な心配させまいとしてたんだよね?
俺に気付かれないように解決しようとしてたんだろ?ありがとう。
でも、俺はそんなに弱くないよ。
…何でも打ち明けてくれた方が…嬉しい。
あ、政務で口外できないことは別として、だよ!」
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