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確かめ合う(3)

温もりが離れた瞬間、途轍もない喪失感に襲われた。 もうルースは俺の一部になってる。 いや違う。ルースは俺の命以上の存在なんだ。 そう自覚したら、目の前の(ルース)が愛おしくて愛おしくて堪らなくなり、溢れんばかりの思いが極まって目の前が霞んできた。 「えっ、霙!?どうして泣く!?……そんなに泣く程嫌なのか…………… すまない…分かった。 すぐにキリヤに頼んで、別の部屋を用意させるから。」 ルースがおろおろと自分の服の袖で俺の頬を拭き取り、出て行こうとした。 その服の裾をがしっと掴んだ俺は、思わず叫んでいた。 「ルース!行かないでっ!」 「霙……」 「…行かないで…側にいて…」 「でも、」 「行っちゃ、やだ。」 ぼふん、とルースに抱きついた。 ルースから、戸惑いと喜びのごっちゃになった空気が流れてくる。 「行っちゃ、やだ。」 駄々っ子みたいにもう一度叫んで、ぎゅっ、と抱きしめた。 「霙……」 「やだ。行っちゃ、やだ。」 子供(ガキ)か、俺は。 でもそれしか言葉が出てこない。 ふぅ、と大きく息を吐いたルースは、優しい声で尋ねてきた。 「……霙、俺はどうしたらいいんだ?」 ルースは困ってる。 でも、戸惑いながらもきっと嬉しい顔をしているはずだ。 俺はゆっくりと顔を上げて、ルースを見つめた。 「…ここにいて。」 やっぱり嬉しそうだ。 もう、ひとりは嫌だもんな、お互いに。 別々に寝るなんてできっこない。 その顔が、きゅ、と引き締まった。 「ダメだ。ここにいたらお前を無理矢理」 「…無理矢理じゃなかったら?」 「え?」 「……俺も…ルースと… でも、声が出ないよう、んぐっ」 キスされてきつくきつく抱きしめられる。 嫌じゃない。 全然嫌じゃない。 愛おしい男に抱きしめられているから。 嬉しくって嬉しくって、ドキドキが止まらないよ。

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