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確かめ合う(5)

それから俺達は、寸分の隙間もないくらいに抱きしめ合い、お互いの温もりと鼓動を感じて、何度も何度も愛し合った。 男である俺がルースを受け入れるのに、さほど抵抗はなかった。 “抵抗”と言うより、“嬉々として受け入れた”と言った方が当たっている。 愛する(ひと)を受け入れたい、感じたい、ひとつになりたい、そんな思いの方が優っていた訳で。 ずっと嫁だと言われていたし、俺達の体格差から見て、多分俺が受け入れる方なんだろうな、と予想していたし。 それに、俺がルースを襲うのは何となくしっくりこない。 それでも、やっぱり怖かった。 だってそうだろ?俺は女じゃない。 アンナトコロにアンナモノが入るなんて、考えられなかった。 ルースは、恐怖に縮こまる俺の身体をゆっくりと撫で続け、愛の言葉を囁き、あらゆる所にキスを落としていった。 次第に解けていく俺を本当に嬉しそうに見つめていたルースは、受け入れる準備のできた俺の中へ遠慮がちに入ってきた。 「――っっっ!!!!!」 痛み、異物感、圧迫感、気持ち悪さ、恐怖…… そういった感情をルースの愛に包まれていることを感じながら俺は全て飲み込んでいき…… 次第に全身から湧き上がる快感は、それまで孕んでいたマイナスの感情を全て打ち消していって……残ったのはこの上ない幸福感だった。 行為の最中、際限なく降ってくる愛の言葉。 「霙、愛してる」 「俺から離れるな」 「一生、いや生まれ変わってもこのままで」 「愛してる」 それに対して俺も言葉を紡ごうとするけれど、口から溢れてくるのは、俺の声か!?と訝る甘ったるい喘ぎ声。 「…あっ、あ……ぐうっ、うっ…んっ…」 泣きたくないのに涙まで溢れてくる。 ルースは目尻に唇を寄せて、涙を吸い取っていく。 悲しくて泣いてるんじゃない。 嫌で泣いてるんじゃない。 その訴えを分かってくれていたようだった。

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