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確かめ合う(8)
それからすぐにノックの音がして、2人分の朝食を運んできてくれたみたいだった。
ドアから寝室は離れてるんだから別に見られる訳でもないのに、思わず布団を被って隠れてしまった。
ルースの背中が笑っている。
仕方ないじゃん!
誰かに会うの、何だか恥ずかしいんだから。
事前事後が並んでる気がして、小っ恥ずかしいんだってば。
「くっくっくっ…霙、俺達が何をしようが、誰も何も詮索したり揶揄ったりしないぞ。
番が同じ部屋にいたら、当たり前のことなんだから。
さ、機嫌を直して。
イスナの料理も美味いぞ。
少し動けるようになるまで、ベッドで食べるとしようか。」
ルースはそう言うとトレイを持ったまま、俺の隣に滑り込んできた。
「ルース、大丈夫だから!
俺、そっちに行くよ!」
「霙、さっきベッドから降りようとして、力が入らなくて転んだだろ?
いいから俺の言うこと聞いて。
ほら、あーん。」
「……自分で食べる。」
「霙……」
ルースは途端に悲しそうな顔をする。
あー、もう、分かったってば!
…俺はどうやら、ルースのそんな顔に弱いみたい…そんな顔されたら、お願いを聞いてあげたくなってしまう。
「今日だけだからねっ!」
半ばヤケクソで叫び、大きく口を開けた。
「あーん♡」
何だよ、語尾にハートが付いてる……もぐもぐもぐ………
「美味しい!」
「うん、美味いな。ちゃんと伝統を受け継いでいる味だ。
霙の口に合って良かった。」
「俺、この国の料理好きだよ。
お城のもイスナのも、どっちも大好き。」
「そうか、気に入ってくれたのか。
皆んな喜ぶぞ。」
「ふふっ。ルースは好き嫌いないのか?
苦手な物は?」
「そうだな…俺はグユラという野菜があまり好きじゃないな。」
「ぐゆら?」
「そう。苦味のある青臭い葉物なんだ。
小さい頃、無理矢理食べさせられそうになって、龍体化して城から逃げたくらいだ。」
まだ小さな龍が、半ベソをかきながら空を飛んでいる光景が目に浮かんで吹き出した。
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