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激震(1)
イスナの町にも馴染んできた気がする。
俺はここに来て、というよりはっきり言って拉致されて来て。
でもそのお陰で、ルースと心も身体も結ばれたのだ…あれこれ思い出しただけで恥ずかしい。
お互いの身体に現れた番の印が、俺達がしっかりと結び付いたことを証明している。
ルースはそこに触れたがったり、キスしてきたりして…困る……
キリヤを中心としたイスナの人達との関係も、今までとは全く違う(らしい)。
ルースとキリヤは昔からの馴染みのように、軽口を言い合って、漫才のノリツッコミのようにお互いの身体をバシバシ叩いてるし。
俺は、元気になったレイチェにアイスクリームの作り方を教えたり、みんなからこの国の伝統料理を教えてもらったりしていた。
そして、2人きりになれば……ルースは当然のように更に深く触れてきたがった。
まぁ、ルースはいつでもどこででも俺にくっ付いているから、俺も段々と“それが当たり前”になっていたんだけど。
慣れとは恐ろしい。
俺だってルースを求めてしまうから、結局はそういうことに発展するわけで。
部屋の外に声が響かないか、汚してしまったシーツをどうやってさり気なく交換しようか、どうでもいいことに頭を悩ませる羽目になっていた。
ルースは
「城へ戻ったら声が枯れるくらいに抱いてやる。」
なんて鬼畜な発言をする始末。
それでもそんなルースを許しちゃうおバカな脳内お花畑の俺がいた。
心配していた城内への病の流行もなくて、他の病人達の治療の目処も立ったので、帰国することになった。
今後のイスナとの関わりは、ルースが言っていた通りどちらにも良い方向に進んで行くだろう。
ただひとつ、解決していないのは……俺達を狙っている奴の存在。
キリヤ達の情報網を持ってしても未だ不明だ。
正直言って怖い。
日本では考えられないことだ。
でも…ルースが一緒なら大丈夫、そう確信していた。
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