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激震(2)
俺が城へ戻ると知ったレイチェが、鼻をぐずぐずと鳴らしながら訴えてくる。
「ねぇ、えい、ほんとにかえっちゃうの?
ずっとイスナでくらせないの?
ねぇ、ここにいてよぉ。」
俺はレイチェの背丈まで屈んで頭を撫でながら、宥めるように話し掛ける。
「うん、ごめんね。
ここもとてもステキな所なんだけどさ。
俺はルースが一緒じゃないと生きていけないからお城に帰らなくちゃ。
でもまた遊びに来るよ。
アイスクリームを作りにね!」
それを聞いていたキリヤが、ぼそりと呟いた。
「『生きていけない』なんて、すげぇ告白だな…」
自分が言った言葉の意味にハッと気付いた俺は、頬が赤く染まるのを感じていた。
ちらりと横を見ると、満足気にニヤつくルースが……
「すっかり仲良くなりやがって。
俺達のお陰だな!
おい、ルース。絶対に結婚式には招待しろよ。
お妃さんよぉ、お祝い考えとけよな!」
うーっ……恥ずかし過ぎる。
最近の俺は、恋に惚けているのか、言動がダダ漏れになってヤバイ。
そしてそれを見たり聞いたりしたルースが、更に顔面を崩壊させてノロケるのだ。
いかん、いかん。
しっかりしなきゃ。皆んな見てるんだから。
「ルース様、準備が整いました!」
「よし、では出発するぞ。
キリヤ、今後のことも含めて改めてまた連絡する。」
「分かった。
俺達を助けてくれてありがとう。この恩は絶対に忘れない。
お妃さん、ルースと仲良くな!」
「その“お妃さん”は止めて……
お世話になりました。皆んな元気で。
レイチェ、また遊ぼうね!」
「うん。えい、またきてね!」
「うん。」
「霙、俺が龍体化したら手の平に乗ってくれ。
絶対に落としたりしないから安心して任せてくれ。」
厚着をさせられ、その上から毛布で包まれて、もこもこになった俺は頷いた。
ルースの身体が金色の光に満ちていったその瞬間。
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