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激震(4)
身体の震えが止まらない。
ぐるりと周囲に視線を走らせる。
何処から狙われた?警備は万全過ぎる程に万全だというのに。
イスナを出発する時と城に戻る時が一番狙われやすいからと、城の軍隊もイスナの防衛軍も周囲に目を光らせていたというのに。
狙われたのは間違いなく、俺、だ。
俺を庇ってくれた最愛のひとルース…ルースは助かる!?絶対に助かる!大丈夫だ!
だって、あのルースだぞ!?最強の龍王だぞ!?
それに、ドリナ先生達もついてる!
肩から落ちそうになっていた毛布を外すと、俺はキリヤのあとを追い掛けた。
どんな奴だ!?
誰に頼まれた!?
ルースに万が一何かあれば……同じ目に遭わせてやる!
息を切らして広場に行くと、まだそこは騒然としていて。
城の軍隊とイスナの屈強な男達が野次馬達を整理しており。
その真ん中に、全身真っ黒の服に身を包んだ男が取り押さえられ膝をつき、顔を地面に押しつけられていた。
口には猿ぐつわを噛まされている。
コイツが…コイツが俺の大切なルースを……
俺はキリヤを追い越した。
「お妃さんっ!?」
俺は男の前に立ちはだかると軍隊長の足を顔から退けさせ、男の襟を掴みその顔を見た。
俺と同じくらいか少し若いくらいか。
無機質な無感情な瞳。
コイツ、頭イカれてんじゃないか?
「何で、何で俺の大切なルースを傷付けた!?
誰に頼まれたんだ!?
狙うなら俺だけを狙えばいいじゃないか!
正々堂々と受けてやるっ!
アンタにだって、守りたい大切なひとがいるんだろっ!?
俺にとってルースは自分の命より大切なんだ!
それを…それをよくも……」
男がピクリと身体を震わせた。
さっきまで感情の無かった瞳に、悲しみの色が現れた。
「お妃さんっ!」
背後からキリヤに羽交い締めにされて、男と距離を取らされた。
「キリヤ、離せよっ!
俺は…俺のルースを傷付けたお前を絶対に、絶対に許さないっ!」
俺の悲痛な声が広場に響いた。
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