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激震(7)

ガルーダは激昂した。 「エスティラ殿!幾らエスティラ殿でもそんなことを仰るとは断じて許しませんぞ! そんなことはあり得ない! あのお2人は、他人がどんなに横槍を入れようが、絶対に裏切ったり離れることはありません! それ程までに心から結び付いたお2人なのですっ! お側についていた私が一番良く知っています!」 「それならば霙様は、どうして城を飛び出したのか?」 「この度のことは私が霙様にきちんと説明せず誤解をさせてしまったせい。 私の落ち度なのです。 それが夫夫(ふうふ)喧嘩に発展してしまった。 あなたも経験があるでしょう? 恥ずかしながら、若かりし頃私も何度も家出を敢行しましたよ。 ましてや、霙様は異世界から召喚されたばかり。 それはお察し下さい。 霙様のお陰でイスナだけではなく、城内に流行り病が蔓延せずに済んだのです。 それに険悪だったイスナとの関係も改善された。」 「失言でした、申し訳ない。陳謝します。 とにかく、この度のことは何かがある。 単独で起きた事件ではない。 我々も秘密裏に動きますが、情報共有できるようにしましょう。 では、取り急ぎ議会を招集しますので、これにて失礼。 また後程。」 「こちらこそ言い過ぎました。 では。」 エスティラの背中を見送りながら、ガルーダは大きく息を吐いた。 ルース様…霙様…どうかご無事でお戻りになられますように… そしてまた大きく息を吐くと、イスナと連絡を取るべく執務室へと戻っていった。 イスナで待機する息子達からは、プライベートな回線を通して逐一詳細な状況が知らされてくる。 『どうやら犯人は単独犯のようだ。 凶器は弓矢。 不思議なことに犯人の素性がはっきりしない。 どれだけ調べても“生きている”戸籍が見当たらない。 ひょっとしたら、“戸籍を消された奴”なのかもしれない。 あの厳重な警備を掻い潜ってルース様達を傷付けることができる凄腕の者と言えば……俺の記憶が正しければ、確か……タールファという名の男だ。 けれど…彼は雇い主を(あや)めて、その後北の塔に送られてすぐに亡くなっているはず…』

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