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激震(8)
加えて次男グリスは「弓矢を使ったのは、銃のような狙撃音や火薬の匂いがしないから、見つかるまでの時間稼ぎのためだろう」とも言っていた。
「戸籍が見当たらない、だと?……一体どういうことなんだ…
リスタ!リスタはいますか!?」
「はい、ガルーダ様、お呼びで。」
「申し訳ないが、雇い主を殺めて北の塔に送られた罪人のタールファという男のことを調べて下さい。
その後の家族のことも含めて。
頼みます。」
「はっ。」
リスタはガルーダの腹心の部下の一人。
ガルーダが望む情報をすぐに手に入れてくるだろう。
そして、一番肝心なのが……
「ネーグ…いますか?」
「はい、ガルーダ様。」
「あの2人から目を離さずに。
今の状況なら、必ず尻尾を出すはず。
決定的な証拠を…必ず手に入れて下さい。」
「御意。」
ネーグは疾風のように消えていった。
ルース様が危篤だという今、早速ラジェがその正体を現し始めた。
噂というものには真実が隠されている。
必ず綻びは生まれるもの。
ルース様と霙様を傷付ける者には容赦はしない。
ルース様は必ず復活される。
あの方の運の強さは半端じゃない。
それに番の霙様がついておられる。
あぁ、神よ、どうかルース様をお助け下さいませ。
神に祈りを捧げると、ガルーダはいつもの冷静さを取り戻しつつあった。
私は私で全力を尽くす!
決意も新たに気合を入れ直していると、小さなノックの音がした。
「どうぞ。」
滑り込むように入ってきたのは、長男のエルグだった。
「エルグ!?イスナにいるのでは!?」
「しっ…霙様からの伝言。」
エルグはそっと耳打ちを……見る間にガルーダの顔が驚きに満ちて行く。
エルグが離れる頃には、ガルーダの顔は輝きを増していた。
「エルグ、霙様に『確かに承りました』と伝えてくれ。」
「承知。母さん、無茶すんなよ。」
ウインクをして、エルグは入ってきた時と同じように出て行った。
「霙様…あなたというお方は……」
ガルーダは湧き上がる笑みを堪えることができなかった。
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