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激震(9)

『国王ルース様が危篤』 緊急で公にされたニュースは、瞬く間に国内外を駆け巡った。 彼方此方から噂話やら情報やら問い合わせが交錯し、城内は更に混乱を極めた。 そんな喧騒の中にいて、ガルーダは非常に冷静であった。 表向きは悲痛で苦悩の表情を浮かべながらも、あらゆることに的確に対処していく。 なぜなら…… 霙の伝言と…… イスナのキリヤからの直伝と、腹心の部下達からは正確で詳細な報告がキッチリと入ってきていた。 (霙様…あなたの思惑通りに事が進んでいます。 もう少し…もう少しで古狸の尻尾を捕まえて見せますよ…) 『ルース様が危篤だ』という偽の報道を流させたのは、何と霙様だった。 イスナに滞在中のドリナ先生を始めとした錚々(そうそう)たる医者達を持ってしても、その容態は芳しくない、と現実味を帯びたフェイクニュース。 そうすることによって、黒幕達の一網打尽を図られているのだ。 幸いにも急所を外れたルース様の容態は驚く程の回復を見せている、とのこと。 日に日に回復され、実際に寝込んだのはたったの2日間で、3日目からは自力で起き上がり、霙様にちょっかいをかける程だという。 「ガルーダ様、ネーグです。」 「どうぞ。」 「ラジェ様の身辺が慌ただしくなっております。 戴冠式のための新しい衣装の打ち合わせのために、仕立て屋が頻繁に出入りをしています。 また、取り巻き達と密談を重ね、新しい政治組織の人事を始めたそうです。 その様子を侍従達は遠巻きに眺めているそうで。 余りの身の代わりように、不信感を抱いた侍従達が彼方此方(あちこち)で話をするものですから、噂が噂を呼び城内では知らぬ者がない程になっております。」 「舞い上がっているのでしょう。 恐らくグルディの忠告も耳には入らないはず。 さて…奴がどう出てくるか……ラジェ様を切るのか、このまま踊らせるのか……」

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