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激震(10)
ネーグに労いの言葉を掛け、再び探索を依頼した。
(私ならば…共犯のラジェ様は暫く泳がせる。
浮つかないようにしっかりと釘を刺して。
下手に処分しようとして、逆手に取られて暴露でもされたらマズいことになる。
それよりももう少し手駒として動かす。
きっとグルディも同じだろう。
恐らく配下の者をラジェ様の元に送り、目を光らせているはずだ。
手をこまねきながらも最近のラジェ様の奇行にも目を瞑っているのだろう。)
「ガルーダ殿、今よろしいか?」
「はい、どうぞ。」
ドアを開け入ってきたのはエスティラだった。
「先日は霙様への無礼な発言、改めてお詫びを申し上げる。
お許し下され。」
「霙様の潔白をお分かりいただければ良いのです。
こちらこそ言い過ぎました。お許し下さい。」
ホッとした表情を浮かべたエスティラは、声を顰めて
「調べれば調べる程に、不可解な点が見つかりまして…
遡れば、皇太后様の死因にも波及してきました。」
「何と!?どういうことですか?」
「我が国の名医を持ってしても治すことができず、そのお命を奪ったのは、舶来のとある薬のようです。
自然に老衰のように見せかけるその薬を手に入れ、そして『その首謀者はラジェ様である』と、声高に話をして噂を流した者全てが闇に葬られているのです。」
この短期間にそこまで辿り着いたのか。
このエスティラはやはり侮れない。
敵か?味方か?
「何という大それたことを…ラジェ様おひとりでそんなことを仕組んだのですか?
言っては何ですが、あの方にそんな度量は…」
「仰る通り。
ハッキリ申し上げて、あの方はそういう器ではない。」
カマをかけてみるか…
「では一体誰が…」
「神官グルディです。」
エスティラは淀みなく言い切った。
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