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激震(11)

「…皇太后様まで手に掛けていたのか…何ということだ。 それにしてもエスティラ殿、あなたは短期間でどうしてここまでそんな情報を手に入れることができたのですか?」 「私は以前からグルディが怪しいと思っていました。 私偵を使ってあれこれずっと調べていただけのこと。 ですからこの数日間でのことではありません。 長年に渡って手に入れてきた情報です。 申し訳ないが、ルース様と霙様のお側付きのあなたのことも調べさせてもらっていた。 どうか気を悪くしないで下さい。 それも国を守り繋いでいくために必要だった。 あなたに関してはどれだけ調べても潔白で、私が唯一信頼するお方です。 だからこそ、腹を割って協力したい。 ラジェ様を操る黒幕は神官グルディ。 我らの敵はグルディに他ならない。 ところが奴は中々手強い。 容易に尻尾を掴むことができない。 ガルーダ殿、ルース様ご不在の今こそ、我らが力を合わせる時ではないのか? ルース様に万が一のことがあれば、グルディの悪巧みが横行してこの国は破滅の道を辿るやも知れぬ。 どうか、どうか私と一緒に戦ってはくれまいか? この国を…この龍の国を守り抜くために。 私を信じてくれとは言いません。 でも、目の前の敵とは戦わねばならない。 今、奴を潰さねば、今度は確実にルース様も霙様もお命を奪われかねない。 ガルーダ殿、何卒何卒ご英断を!」 頭を下げたエスティラは、最後の方は涙声になっていた。 最古参のこの男は、愚直な程に真面目で悪い噂はなかった。 実直過ぎておべんちゃらも賄賂も通じず『鉄の男』と呼ばれている。 ひたすらに家族を愛し、国を国王を思い働いてきたことを知っている。 信じていいのか、裏でグルディと繋がっているのではないか。 安易に心流されてあとで裏切られるのではないか。 ガルーダは迷っていた。

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