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再び、イスナにて(1)

「ルースっ!ちゃんと寝てなきゃダメじゃないかっ! 何で起きてるんだよっ! 早くこっち来て!!」 今日も霙に叱られて、書きかけの書類を慌てて片付けるとルースは大きな背中を丸めながらベッドへと戻った。 「目を離すとすぐこれなんだから…ルース、いい加減にしないと、俺」 「分かってる。分かってるよ、霙。 でも、もう俺は大丈夫だから。」 「何言ってんの!?あの世に行きかけたんだよ!? …一体どれだけ俺が心配したと思ってんの…… ルースのばかっ!」 「霙、悪かった。すまない。ごめんなさい。 大人しく寝てるから、許して?」 そっと霙を抱きしめると、暴れればルースの怪我に障ると思ったのか、霙は大人しく身を任せてきた。 頭を撫で頬や鼻先、顔中にキスの雨を降らせると、その頃にはもう霙の顔は真っ赤になり、潤んだ瞳でルースを見つめている。 「霙、許してくれるか?」 「……………」 「霙、返事して。愛してるから。」 「……………」 繰り返されるキスと睦言。 (愛情を与えられたばかりの野良猫のようだな) そんな霙がかわいらしくて、ルースはワザと霙に心配を掛けるような行動をしてしまっている。 霙は、心底ルースの身体を心配して叱りつけてはルースの思惑通りの反応をして、罠にまんまと引っ掛かるのだ。 側から見れば、単なるイチャつき。 ルースの回復を知る極く僅かな者達も次第にそれに慣れて、口元が綻ぶのを慌てて引き締めながら、によによと見守るのだった。 「おーい、ルース、起きてるか!?……ってか、お前らまたイチャついてんのか!? はぁ、若いっていいねぇ……」 ノックもせずに無遠慮に入ってきたのはキリヤ。 ルースの腕の中から飛び逃げる霙。 「こら、霙、逃げるな! これが俺達の普通の状態なんだ。 …キリヤ、笑うな!何か文句あるか?」 「いいや、別に。」 「何か用事があったんじゃないのか?」 「あぁ、そうだった! 龍の国は、お前が危篤だと、大騒ぎになってるぜ。」

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