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炙り出し(21)

と、そこへ。 霙達が来た方向からも、青い光の玉がこちらも物凄い勢いで向かってきた。 「あれは……キリヤ!?」 「霙様、ご名答。 あなたの行動はイスナをも巻き込んでいるのです。 イスナのボスが単独で直々に動くとは、今までになかったこと。よくよくのことです。 どうかご自身のお立場と、今の龍の国の状況を熟考いただきますように。 賢明なご判断をお願いいたします。」 フォルダに諭すように言われて、霙は流石に自らの短絡的な行動を反省していた。 「…フォルダ、インティラ、ごめんなさい。 巻き込んだみんなもごめんなさい。 1番謝らなくちゃならないのは…ルースだよね。 結果的に、こうやってみんなを振り回しちゃって……ごめんなさいっ!」 「おーい!見つかったか!? ったく…おい、お妃さんよ。 アンタ、その勝手気ままな性格、何とかしろよな! …まぁ、無事で良かった。この距離ならイスナに戻るより城の方が近い。取り敢えずガルーダの所に行くんだろ? 俺はすぐルースに伝えてくる!」 荒ぐ息も整わぬまま、キリヤは再び青き龍となり、空へ駆け上がった。 「…ではガルーダ様の元へ。 霙様、良いですか? インティラ、ついて来い。」 「はっ、はいっ!」 「…はい。ごめんなさい。お願いします。」 俯いたまま涙声で返事をする霙に、フォルダはそれ以上何も言わなかった。 そして霙をもう一度きっちりと毛布に包むと、龍化したその手の平にそっと包み込んだ。 言いたいことは山程あった。 これが自分の身内なら、横っ面を張り倒していたところだった。 この純粋な王の番は、きっと今猛烈に反省と自己嫌悪に苛まれていることだろう。 猛省している者に、追い討ちをかけるようなことはしない。 まして王の大切な伴侶だ。 誰かを思う余りに突拍子もない行動に出てしまうのは、ご愛嬌の範囲を超えてはいるが… 取り敢えず霙の無事な姿に、大きく胸を撫で下ろしたフォルダだった。

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