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炙り出し(25)

「あぁ…そうだな。グルディ達に見つからなければ良いのだが。 万が一にでも見つかったら、せっかくの計画が無駄に終わるどころか、霙の命すら危ないと言うのに。 全く…アイツを籠にでも閉じ込めておきたい…俺達の予想不可能な行動をするからな…俺の心臓が持たない…」 「心中察するよ。 しかしまぁ、とんでもない無鉄砲でヤンチャなお妃さんだな。 歴代であんなのは聞いたことがないぞ、ははっ! ところでルース。お前、傷の具合はどうだ?」 「もう大丈夫だ。心配ない。」 「そうか、でも過信は禁物だ。 古傷はふとした瞬間に悪さをする。 おれもそうだ。」 キリヤは自分の足を指差した。 「でも、お前が連れて来てくれた医者に診てもらってから、楽になったし不安が減った。 礼を言うぞ。ありがとう。」 「礼なら霙に言ってやってくれ。 誰かの役に立ったと、霙も喜ぶだろう。」 「あぁ、そうしよう。 で?俺達はどう動けばいい?」 「取り急ぎガルーダへの繋ぎを取らなければ。 だが、フォルダがあちらにいる以上、動けないのが実情だ。 霙の顔を見ないことには俺は落ち着かないんだが、仕方がない。 ガルーダの元には、元侍従が集めた証拠が全て揃っている。 だが、決定的な、ぐうの音も出ない確証がほしい、とエルグが様子を伺っている最中。 下手には動けない。」 「ルース、怒るなよ?」 「何をだ?」 「実は…ハスイラの娘が2人、ラジェの新しい侍従として潜り込んでいる。」 「何だと!?ハスイラ、本当か? エルグのみならず、イスナのお前の娘達までそんな危険なことをして…何故だ!?」 「はい。2人とも幼い頃からあらゆる武術を仕込んだ自慢の娘達です。 恐らく、あのエルグ様でも太刀打ちできませんよ。 『どうしても龍の国の役に立ちたい』と…何分親に似て、一度言い出したら聞かないものでして…」 ハスイラは、照れながら頭を掻きつつ答えた。

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