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反撃(1)
グルディの館に潜入し、そこで働くアイザスからの繋ぎ、リスドがやってきた。
グルディの様子もルウルウ達にシェアされている。
ルースが城内のセキュリティを危惧するように、いつの間にかイスナからは多数の精鋭達があちこちに潜り込み、密やかに連絡を取っている。
「あの噂が本当かどうか、その真偽を確かめたくてやきもきしているけれど、ラジェがグルディの相手をしないから、余計に腹を立てているよ。
俺達使用人にも八つ当たりを始めている。
そろそろ、『いつも穏やかで冷静な神官長』の化けの皮が剥がれそうだよ。
そろそろ次の手を打つか…」
「リスド、あの噂を流したのはあなた?」
「ははっ、俺じゃなくてアイザス。
それに、噂じゃなくて“本当みたい”だから。」
「マジ!?…やっぱりそうなんだ…道理で、だから今までの侍従達も“お手付き”がなかったんだわ。
で?グルディは?このまま黙っているとは思えない。」
「身内の若い者を忍び込ませて、ラジェの身代わりに仕立て上げ、侍従と関係を持たせようとしてる。恐らく近いうちに。
もし、子ができれば、その子をラジェの子として育てるつもりだろう。
ルウルウ、気を許すな。ウーガとディルにも伝えてあるから。」
「分かった。他の侍従達には、ひと部屋に纏って過ごすように伝える。
離れ離れになると守りきれないから。
リスド、“次の手”早く頼むわよ。」
「任せとけ!ルウルウ、気を付けろ。」
リスドが去り、急いで部屋に戻ったルウルウは、異変を感じた。怯えと怒りに満ちた空気が漂っている。
何があった!?
「アシェナ!ナガール!サラエ!みんな!」
侍従達の部屋のドアを次々と開けるが、もぬけの殻だ。
落ち着け。アシェナが何か残しているはず。
もう一度自分の部屋に戻ったルウルウは、床に走り書きを見つけた。
『ぐるでぃ らち みなみ』
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