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反撃(5)
ルウルウは勝ち誇ったように言った。
「『味方である乳母にも見捨てられたかわいそうなラジェ様は、裸の王子!!!』
ってね!
さぁ、隠れてないで出てきなさいっ!!!」
ラジェは唸り声を上げながら益々布団を引き掴み、こんもりと丸まってしまった。
「ルウルウ、それ以上虐めちゃダメよ。
本当のこと言ったら、この人立ち直れないわ。
…そろそろ軍と警察が到着する頃よ。
さっきの男達はぐるぐる巻にしてあるし…あ!
サラエ!サラエを介抱しなくちゃ!」
そう言うと、慌てて出て行った。
「…サラエも、最後まで抵抗して戦ってくれたの…でも、多勢に無勢で……うぐっ」
「大丈夫よ。あのひとも全力を尽くしたわ。
あ!サラエ!」
「ナガールっ!」
「サラエ、サラエ……うわぁーーーんっ!」
「サラエ、ナガールは無事よ。彼女を頼むわね。
さあウーガ。ディルに繋いで!
これから全面戦争よ!この落とし前はキッチリつけてもらうからね。
グルディ、覚悟しなさいっ。」
「ルウルウ、コイツどうする?」
「そうねぇ……ちょっと、ラジェ!」
布団が微かに震えている。
「アンタ、グルディに利用されてんのよ!
分かってる!?
そこで伸びてる男に、アンタの代わりにナガールを手籠にさせて、アンタの子供として育てて、用済みになったアンタは命取られるのよ!この世から消されるの!
それ分からなかったら、アンタ本当にただの『裸の王子』だからねっ!
仮にも王家の血を引く者なら、それらしく誇りを持ちなさいよ!
世間一般なら、アンタみたいなのすぐに路頭に迷うわよ!
いい加減に目を覚ませっ、このバカッ!!!」
ルウルウの怒号が部屋に響き渡る。
小さな雷がルウルウの身体から飛び出して壁に突き刺さり、ぶすぶすと燻っている。
仮にも皇太子に向かって『アンタ』呼ばわりするとは、大したものである。
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