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反撃(6)
布団の震えが止まった。
ラジェが頭だけをそっと出してきた。
「…それ…今言ったこと、本当か?
グルディが、俺を騙して…俺を手に掛けようとしていると…」
「本当よ。アンタは操り人形だったの。
踊らされた挙句に亡き者にされる。
それでもいいの!?
アンタの人生、そんなもんでいいの!?
やりたいこと、一杯あるでしょ!?
男でしょ!?しっかりしなさいよっ!!!」
ラジェは何か言いかけたが、目に涙を一杯にためて、また布団に潜ってしまった。
ひぐっ…うぐっ…
くぐもった嗚咽が聞こえてくる。
ルウルウはため息をついて、震える布団を見つめていた。
軍隊より先に、イスナの潜入部隊がやってきた。
ウーガが的確に指示して、それぞれが素早く伝来に飛んで行く。
ラジェはもう落ちた。
ナガールの従兄弟だというジェリクという男も簡単に口を割るだろう。
残るはグルディのみ。
あと少し、あと少しで決着する。
上から下へのてんやわんやの大騒動の最中 、霙は読書を中断して優雅にお茶を楽しんでいた。
遠くから怒鳴り声や人々が動く気配がする。
流石に鈍い霙でも、おかしい、と感じていた。
「ねぇ、ガルーダ…何だか騒がしいけど…何かあったのかな…」
「そうですね、見て参ります。」
あの方向は、確かラジェの住まいだったはず。
何かあったに違いない。
“くっきー”を頬張りながら、今回は大人しくガルーダを待っていた。
間もなく戻ってきたガルーダは、霙の真正面に座ると、手を取り一字一句ゆっくりと話した。
「霙様、ラジェ様の部屋でひと騒動あったようです。
詳しいことが分かり次第お伝えしますが……『動かないこと』。
よろしいですね!?」
「うっ……分かってるよ…俺ってそんなに信用ない?」
「信用とかそういうのではありません。
あなたは今“城内にはいない”ことになってるんです。
誰かに見つかれば皆んなの苦労が全て水の泡になります。
お分かりですよね!?」
いつになく強い口調のガルーダ。
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